現在進行中の住宅建替え現場には
古い柿の木が一本あります。
お施主様から「大切にしたい木です」と、
この柿の木にまつわるエピソードをお聞きしました。
昭和の初め、
村が大火に見舞われ
多くの住宅が焼失しました。
海風が強い地域のため、
一旦燃え始めると
火は広範囲に広がります。
当時、この柿の木がその火を食い止め、
我が家を大火から守ってくれたそうです。
だから
今回の住まいの建替えに際しても、
邪魔になるとは思ったけれども、
「この木だけは残したい」
との思いで間取りと配置を
検討したのです。
壊したり伐採したりすることは簡単なことです。
しかし、思い出までもが消し去られてしまいます。
残すべきものを残しつつ、
そこに新たな息吹を吹き込む仕事をしたいと思っています。
この柿の木は竣工まで、
何が何でも傷つけてはなりません。
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