その昔というべき昔、かれこれ半世紀近く前、「家庭画報」に載っていた「鬼しぼちりめんの紅型」の着物。
グレーかがった青地に紅型独特の花模様。作家物だったでしょう。
その着物が忘れられなくて、呉服屋さんでも、デパートでも、展示会でも、ついつい同じようなものが無いか探している自分がいました。
40代に、40肩になって着物を自分で着れなくなり、さらに嫁入り時の着物がさすがに派手に見えたりして、着物を着るということをあきらめたのでした。
それでも機会があればその着物を無意識に探していたのかもしれません。
2年ほど前、銀座のデパートで着物の委託販売のコーナーで、見てしまったのが縮緬地の紅型。
ここに委託したのは叔母からもらった着物だという方が、自分では着ないから着てくださる方に、とありました。
その前でしばらく動けませんでした。やはり作家物です。
ただただ、私が着るにしてはどう帯を控えめにしても無理な柄です。
探していたうちでは一番イメージに近いものでしたが、今更着れない着物でタンスの肥やしを増やすのも出来がたく値札も見ずにあきらめたのでした。
最近また着物を着始めました。断捨離を始めて派手な着物から1枚2枚とほどいて手づくなをしていましたが、どうやっても片付くところまで行きません。
それならばと着ることにしました。これが本来ですものね。
そしてこの夏、姉のお友達がご自身の着物の一切を姉の元に送ってこられたのでした。
その枚数が半端な数ではなく、姉が私に着れるものがあればと声を掛けてくれました。
2人で1枚1枚写真を撮って整理をしました。
姉が「これ、みーこちやんが好きそうでしょう」と薦めてくれた花柄の小紋をいただきました。
どういうわけか、私花柄の着物が大好きで・・・・私のタンスの8割は花柄なのです。
あまりの数の多さに、その場では開いてみませんでした。姉が薦めてくれた時、ただ懐かしい感じがひどくしたのでした。帰宅してタトウを開いて、それが紅型であるのが分かりました。
まさに私の探していた紅型にほぼ近いものでした。
今の私に着れる柄です。
本当にうれしくて小躍りしたい気持ちでした。
半世紀近く思いあこがれていた1枚に今出会えるとは、なんと幸せなことなのでしょう。
さっそく9月に入って着させていただきました。
姉のお友達もご自分で求められたお気に入りの着物を、タンスの肥やしにしたままにしておくのが不本意だったのでしょう。
お茶のお稽古を長く続けられてこられた方のお着物です。
その方の好みが私の好みとぴったりなのです。
たくさんいただいたとしても、私にそうそう着る機会もありません。
姪たちはこれから着る機会があるでしょうから、きっとこの方の意をくんでくれることでしょう。
そう言いつつ、生地のままの物を何枚かと仕立ててない帯地もいただいて、今仕立てに出しています。
着物も着てほしいと思っているのだろうとこの頃常に思うようになりました。
そんな訳で自分のタンスの着物も引っ張り出しているこの頃です。
幾つになっても着物はうれしいものです。
断捨離とは裏腹なのですが、これらの着物を大事に着たいと思います。
できることなら、これを繋いでいければと思うのでした。
依田 美恵子
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