お彼岸の中日、土地の契約があって出勤。終わった後社長が松井修三さんの「家に何を求めるか」を渡してくれた。
つい先日発売になったばかりで、社長は読み終えたのでとのこと。
私も早く読みたいと催促していたのだった。
1時間ばかり会社の机の前で読みふけった。
なんだかいつもと違う・・・・・そんな思いがした。
松井修三さんは「いい家が欲しい」の著者であるから、ここ10数年で私が繰り返し読んだ本の筆頭である。
繰り返しとは言ってもね中身は何回も改訂している・・・・・つまり進化しているのである。
進化している、成長しているのは本の中身だけではなく、まさに建てる家が進化しているのである。
私が松井修三さんに初めてお会いしたのは、たぶん20年前のこと。
その頃松井さんもわが社もカネカのソーラーサーキットの家を建てていた。
全国の中で特に一生懸命ソーラーサーキットの家に取り組んでいる工務店を集めての会があり、その席でご一緒した。
私の席から鍵の手に曲がったすぐ先に松井さんは座られていた。20社ばかりの工務店が順番に自社の取組を話された中で、松井さんのお話は今でも印象深く残っている。
松井さんは、今まで建てられた家を一軒一軒廻られていて、今本を書いていると話されたのだった。
工務店の社長さんというより学者さんタイプだなとその時思った。
親しくしていたカネカのソーラーサーキットの開発者が、とても工法について追及してくるうるさい方だと、苦笑しながらその日私に教えてくれた。
この意味がしばらくしてよく分かった。
カネカは住宅メーカーではない。化学の会社である。
だから自社の断熱材を売るために、ソーラーサーキット工法を生み出した。
ソーラーサーキットを施工した段階で様々な疑問が出てくる。これでいいのだろうかという、その疑問の数々をカネカにぶっつけていたのだろう。
それがうるさい工務店ということになったのだろう。
「いい家が欲しい」から今回出版された「家に何を求めるのか」を読むとそれがよく分かる。
わが社もそうだけど一棟建てるごとに改善を加えていったが、松井さんはどの工務店よりもその研究や探究心が旺盛であったのだ。
「住み心地」追及の住まいは、文章を読んだだけではわからない、住んでみて初めて他との違いがわかるともいえる。だから体感体感してみる必要があるのだ。
わが社も平成3年目に1棟目の体感ハウスを建て、現在は2棟目である。宿泊体感ハウスとしては全国で一番早いと思っている。
ある日息子夫婦の体感宿泊にイヤイヤ付いてきたお父様、説明の段階は寡黙であったのに、翌朝になったらとたんに雄弁になられた。
一晩中寝ないで温度変化を見ていたのだという。夜が明けて、前の家の北側の窓が結露と寒さでガリガリに凍っているのも見たという。
そして「村にお金をかけた家はあるが、こんな暖かい家はない」と。20年以上も前のことである。
私たちの建てる家はどんどん改良して進化してきたから、あのお父様が今もう一度体感して下さったらびっくりされるだろう。
松井さんはご自身の自宅や会社近くと横浜の体感ハウスで数々のデータ取りをして、何が一番いいのかをずっと追及なされてきた。
わが社も体感ハウスや事務所で様々な実験をしてきたが、とても松井さんほどにはできていない。
現在のわが社の体感ハウスは「涼温な家」である。まさに快適というしかいいようがない。
ここまで住み心地にこだわる工務店は「いい家をつくる会」の工務店以外にそうはいないだろう。
よそ様のお宅を訪問してお金を十分かけてあるお宅でも、冷暖房の効き具合と空気に違和感を感じることがある。
「涼温の家」の快適さは工場生産型の家づくりや数を追及するハウスメーカーでも叶えられないものだと思う。
本当に、丁寧に造らなければ「住み心地」は得られない。
ソーラーサーキットが普及しはじめた20数年前、私たちは多くの同志を得たと思ったが、指から砂がこぼれるように抜けて行った。
ソーラーサーキットの名前で仕事が取れると思った工務店も多かったのだろう。
予算がないというお客様に、高気密高断熱ではない家を薦める工務店もいた。一番いけないのは、価格を下げるために「まがい」を作った工務店だ。
結局、丁寧にお客様のために一棟一棟を作り続ける工務店だけが残った。
ここまで来るには試行錯誤もあった。松井さんすら謙虚にそれを書かれている。
でもその時々でお客様にとって一番いい物を選んできた、これこそがお客様にたいしての誠意だと思う。
今回の本の中で、私たちがソーラーサーキットを止めたいきさつも少し書かれているが、私の知らなかったこともあり、今回あらためてそうだったのかと胸に落ちた。
ソーラーサーキットを止めた松井修三さんの「いい家をつくる会」に大勢の工務店が参集した。
それはよりよい「住み心地」を求めてソーラーサーキット以上の住まいづくりに日々研鑽を続けている仲間たちである。
今年80歳になられる松井さんは会の代表を降りられるという。
最初に私が書いた・・・・いつもと違うは・・・・いつも以上に松井さんの意気込みが違うからだ。
その強いパワーが読み手にというか、私たち仲間の工務店にヒシヒシと伝わってくる。
「涼温の家」はいい家である。その作り手に出会えない人がどれほど多いことか。
しばらく前からの増税の話、マイナス金利等もあって家を建てる人の年齢が下がった。20代でという方も多い。
人生経験の少ない分、ハウジングセンターへ直行する人が多いようだ。
ハウジングセンターに行ったことのある方はお分かりだろう・・・・。
私たちは高気密高断熱の家を建て始めた頃は、どこでも誰にでもその素晴らしさを語ってきた。
その語りを信じて多くの方がわが社で建ててくださった。
私たちはさらにさらに勉強して、自分の住宅にたいする知識はどんどん上がったから、世の中の皆さんの住まいに関するレベルも当然上がってきていると思っていたのであるが、実際は実はそれほどでもないということを知らされる。
「いい家が欲しい」を読んで建てられた方は幸せである。
活字離れの今、ますますこの本を読むという出会いをなされない方が多いのだ。
ハウスメーカーのキャツチフレーズを丸のみにしてはならない。
安くていいものはない、そのことを胸の内においてほしい。高い安いは支払った金額に見合っているかどうかで決まる。
予算に上限があるならば、駆け引きなくその旨を行って欲しい。質を落とさずに住み心地の良い家の提案をさせていただけるでしょう。
家を建てる前にこの度発売された「家に何を求めるのか」を是非読んでください。
たぶん目から鱗が落ちると思います。
私は昨日昼間1回、夜中にもう1度読みました。
80歳の松井さんが精魂こめて、多くの人に「住み心地」のいい家に出会えることを願って書かれたものです。
大変長くなりました。
家づくりの話を始めると、ついつい止まりません。
当社は本当に「いい家」をつくることに自信と誇りをもっているのです。
お読みいただきありがとうございました。
依田 美恵子
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