帰宅したら夫が「ちーちゃんの給食着の紐を付けておいて」といいます。ちーちゃんは自分で縫うと言って黄色の糸を取り出したのだとか。
黄色ではだめだから「ばあちゃんにやってもらいな」となったようです。
もう20年も前のことでしょうか。お取引先の営業の方が退職のご挨拶にお見えになりました。
男性同士だとこんな話にはならないかもしれませんが。
小学年の低学年のお子さんを残して奥様が亡くなられました。ある夜遅く帰宅したら紅白帽のゴムひもを幼子が自分で縫いつけてあったのだそうです。
運動会の前には、ちゃんとつけなさいと言われますよね。たぶんそれは前々から取れていたのでしょう。お洗濯はしたとしても男親はそこまで気が付かなかったのでしょう。
その時眠っている子供の顔を見て泣かれたことでしょう。
営業として優秀な方でした。それを辞めて時間の融通の付く保険の代理店に転職なされました。
妻を亡くしても何とか頑張ってきていたのでしょうが、それが転職へのふんぎりになったと。私その時もらい泣きしました。
そして時代が変わって、ちーちゃんが針を持ち出したことで、私はその日のことを思い出してしまったのです。
その夜私は言葉を選んで、ちーちゃんに聞きました。
そうしたら「○○ちゃんが自分で縫うというから、私もやろうかと思って」でした。少しホッともしたのでした。
○○ちゃんもお母さんがいません。
私の母方の祖母は12歳で母を亡くしたことを突然思い出しました。祖母には幼い妹が1人いました。
その母が死ぬ寸前に縫っていた、妹の筒袖の着物があったそうです。その片方縫えていなかった筒袖の縫い方がわからなくて、母の縫った袖をほどいて見たと、子供の頃祖母から聞いたことがありました。
その祖母も私が18の時米寿で亡くなったのでした。
そんな身近な話を聞いていたのに、わが身にふりかかることとして聞いてはいなかったのでしょうね。
昨年ちーちゃんとつるし雛教室に参加しました。針仕事に興味をしめしたちーちゃんにお裁縫箱を用意しました。
だからちーちゃん自分でできると思ったのでした。
100年前の人でしたら、針仕事はあたりまえの年齢でもあるのですも
依田 美恵子
軽井沢・佐久で建てる外断熱・省エネ住宅 中島木材の家
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