中島千波さんのポストカード・ブックを求めたのは3年前のこと。小布施ミュージアムに研修旅行に行った時である。友人が買っているのを見て「何を?」と思ったのだった。
さすがである、彼女はマメにお手紙をくれる。そういう方はやっぱり目の付け所が違うわね。
ポストカード・ブックというだけあって、1冊に55枚綴られている。
このシリーズ文藝春秋の1991年4月から1995年8月まで掲載された「渡辺淳一」氏の『君もコクリコわれもコクリコ』の挿画集なのである。コクリコは漢字で雛罌粟と書く。
与謝野鉄幹・晶子夫妻の生涯を書いたものだと言う。私は読んだような読んでないのか思い出せない。
このポストカード会社の机に入れ、必要があると使っていたが、季節にあうものを選んでいただけで、この背景にあるものを知らずにいたのである。
ある日残り少なくなってきたカードから選んでいた時、渡辺淳一さんの前書きに気が付いたのである。
「君もコクリコわれもコクリコ」の挿画を中島千波さんにお願いするとき、ひとつだけ出した条件が、毎回常に雛罌粟(ひなげし)を描いてほしいと言うことであった。
5年近い連載に罌粟の花だけ描き続けると言うのは過酷な申し出であったに違いない。
なぜ罌粟かと言えば、かって与謝野鉄幹と晶子が、南フランスのプロヴンスの丘陵に咲き乱れる罌粟の花園で永遠の愛を近い「君もコクリコ我もコクリコ」と歌ったところからきたもののよう。
前書きの短文の中で渡辺淳一氏が雛罌粟と罌粟を使い分けているが、その微妙な使い分けがわからない。
挿画集に雛罌粟を描いたものは10枚である。あとは数々の花が描かれている。ポストカードとして使いやすい編集ともいえる。
残り3枚は「白彼岸花」「夕顔」「山茶花」。まあーよく書いたとも言える。最後の1枚は求めた時の友人にありがとうの言葉を添えて書こうと思っている。
依田美恵子
軽井沢・佐久で建てる外断熱・省エネ住宅 中島木材の家
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