弘前の桜がようやく満開を迎えたというニュースを夢うつつに夜中のラジオで聞いた。
今年は思いがけないほど花の季節が早くに到来したのに、その後の寒さの戻りはすごかった。
連日の霜予報に果樹の花を眺めつつ気がやすまらない日が続いている。
桃の花もプルーンの花もりんごの花も凄く長持ちしていた。
経験のない春の雪や連日の遅霜が、どんな結果を生むのか誰もわからない。こういう年は凶作になるのだろうか。
浅間山から雲が南に向かっている時は北の高気圧が南下している時。帰宅しようと事務所を出てみてその寒さに驚く。
それでも庭先のスズランの花が咲き始めた。このスズランの繁殖力はすごい。油断をすると庭中にはびこる。
50年も前、友人に誘われてとある山へスズランの花を摘みにいったことがある。
林の中、1面スズランが咲いていた。その花芯だけを抜き取った。
これがどんな意味を持っていたのか知ったのは大人になってからのこと。
子供だったら罪に問われないから・・・・そういう悪意があったのを知らなかった。
友人の家の家業のお手伝いだったのである。スズランの甘い香りをかぐとその時の苦い思い出がよみがえる。
我が家のスズランは会社の隣の林から移したもの。かってなら信州のおひさまの差す林にならあちこちにあったものだと思う。
隣の林も50年近くの間にどんどんと少なくなってきた。先日林の中の道を通ったら、木々に赤いテープが巻かれていた。いよいよ道路が拡張されるのだろう。
会社の裏道がひょっとしてメイン道路に変る日が来るかもしれないと複雑な思いで赤いテープを眺めた。
依田美恵子
軽井沢・佐久で建てる外断熱・省エネ住宅 中島木材の家