増加する強盗発生件数
侵入強盗の認知件数は2004年から減少傾向にありましたが、SNS上で募集される「闇バイト」の拡大などを背景に、2022年からは増加を続けています。
法務省が公表した2024年版犯罪白書によると、強盗の全体的な認知件数は1,361件(前年比213件増)と高い水準にあり、そのうち住人の在宅中に発生した侵入強盗が全体の30%以上を占めています。特に最近では、東京都や埼玉県などの首都圏で在宅中を狙った強盗が連続発生していることもあり、住宅の防犯対策が欠かせない状況となっています。
強盗は下見をするって本当?
空き巣や強盗犯の多くは、場当たり的な行動はせず、ターゲットとなる住宅を事前に下見して計画を立てたうえで犯行に及びます。強盗の下見でよく使われる手口には次のようなものがあります。
- 業者のふりをして訪問する
リフォーム業者や訪問販売を装って自宅に入ろうとしてくる手口です。家の間取りや侵入経路を把握したり、生活の様子を探ることで、強盗しやすい家かどうかチェックするのが主な目的です。
- 偽のアンケートで家族構成や在宅時間を聞き出す
電話やメールで偽のアンケートを実施して、家族構成や資産の情報を集める手口です。公的機関や大手事業者を装って個人情報を聞き出そうとします。
- 住宅の玄関やポストに印をつける
強盗犯が下見したとき、仲間内で情報共有したり犯行時の手がかりにするため、玄関周辺に印を残すことがあります。これは「マーキング」と呼ばれる手口で、住人の家族構成や行動パターンが第三者には分からない形で記録されます。
その他、知らない人物が住宅周辺を徘徊していたり、不審な車が停まっているときも、強盗がターゲットとする家を下見している可能性が考えられます。強盗の下見をしていると思われる人物や車両を見つけたら、すぐに警察に相談しましょう。
狙われやすい家の特徴
空き巣や侵入強盗に狙われやすい家には、いくつか共通する特徴があります。
- フェンスや植木などで死角が多い
- 住宅周辺の人通りが少ない
- ホームセキュリティなどの防犯対策がされていない
- 留守にする時間帯がはっきりしている
- ベランダや庭が荒れている
- 高級車やブランド品といった高価なものが置かれている
立地や建物に対しては対策を打つのが難しい部分もありますが、家の周りを整える・外出時は施錠するなど、日々の行動や習慣を変えることで対策できるものも少なくありません。お住まいの住宅にひとつでも当てはまる場合、犯罪被害に遭ってしまう前に、ご自宅の防犯対策について見直すことを強くおすすめします。
今日からできる防犯対策
空き巣や侵入強盗の7割は、侵入に5分以上かかると犯行を諦めます。そのため住宅の防犯対策では、侵入しやすいと思われないこと・侵入に手間と時間がかかるようにすることが重要です。ここでは住まいの場所別に効果的な防犯対策を紹介します。
窓の防犯対策
- 防犯ガラスや防犯フィルムで強化する
- 補助錠を取り付ける
- 雨戸やシャッターを取り付ける
- 防犯アラームを設置する
窓は空き巣や強盗の侵入経路になりやすく、外から窓ガラスを割ってしまえば、簡単に家の中への侵入を許してしまいます。防犯対策としては、窓を強化して割られにくくしたり、補助錠を付けて簡単に鍵が開けられないようにすることが有効です。
玄関周辺の防犯対策
- センサーライトや防犯カメラを設置する
- 補助錠を取り付ける
- サムターンカバーを取り付ける
玄関も、窓に次いで侵入経路となりやすい場所です。夜になっても玄関まわりが暗くならないよう人感センサー付きライトを設置したり、補助錠を付けて侵入に時間がかかるようにすると、強盗犯が侵入を諦める可能性は高くなります。
また、ドアの外側からサムターン(ドアの内側にある施解錠用のツマミ)を回して無理やり侵入する「サムターン回し」への対策として、サムターンカバーを取り付けるのもおすすめです。
庭・住宅周辺の防犯対策
- 死角を作らない
- 足場になるようなものを置かない
- 防犯砂利を敷く
- 庭木は放置せず、定期的に整える
外から見たときに死角が多く、手入れも行き届いていない外構は、侵入しやすく逃げやすいので空き巣や強盗犯に狙われやすくなります。背の高い庭木は撤去するなどして、できるだけ開放的で見通しの良い状態を作りましょう。
車の盗難にも注意!
侵入強盗の他に近年増加している犯罪として「自動車盗難」があります。車を盗難する手口はさまざまで、ガラス窓を割って車内に侵入する・自宅に侵入して車のキーを盗むといった比較的オーソドックスなものから、スマートキーを不正に操作してエンジンを始動させる「リレーアタック」などの新しい手口まで、年々多様化しています。
自動車盗難を防止するには、セキュリティシステムの導入や、市販の盗難防止グッズの活用など、複数の対策を組み合わせるのが効果的です。
最近見直されているのがハンドルロックやタイヤロックといった物理的に車両を固定する方法で、盗みづらい車ということを可視化して窃盗犯へアピールできるため、車両の盗難リスクを大きく低減できます。
まとめ
強盗や自動車盗難などの犯罪から身を守るためには、日頃の防犯対策が欠かせません。
強盗の場合、対策の最大のポイントは「侵入しにくい家」と思わせることです。今回はすぐに実践できる対策も紹介しているので、ぜひ参考にして取り組んでみてください。