「すき焼きの日」とは
明治時代、日本では牛肉を食べる習慣がほとんどありませんでしたが、西洋文化の影響で徐々に広まりました。そして1872年(明治5年)の1月24日、明治天皇が初めて牛肉を召し上がったとされています。この出来事が、日本で牛肉を取り入れた料理が定着するきっかけとなり、1月24日が「すき焼きの日」として記念されるようになったんです。
この日に合わせて特別なイベントを行うすき焼き店もあります。例えば、老舗の「人形町今半」では、1月24日限定でお替り肉が何枚でも楽しめるコースが提供されます。価格は大人(中学生以上)15,730円、小人(小学生)7,865円と少々お高めですが、特別な日だからこそ、贅沢を楽しむのもいいかもしれません。
「すき焼き」名前の由来
皆さんは「すき焼き」の名前の由来、ご存知ですか?実は、農具の「鋤(すき)」に関係しています。
昔、鋤を鉄板代わりにして具材を焼く調理法がありました。主に大阪で発達し、魚や貝を焼いた料理を「魚すき」や「沖すき」と呼んでいたのだとか。さわらやぶり・エビといった海産物に野菜を加え、醤油ベースで煮込み、溶き卵につけて食べるスタイルだったそうです。
やがて、牛肉が普及すると魚の代わりに牛肉を使うようになり、「すき焼き」と呼ぶようになったと言われています。
すき焼き「関東風」と「関西風」の違い
明治時代、関東では「牛鍋(ぎゅうなべ / うしなべ)」と呼ばれる料理がありました。牛肉や野菜を味噌や醤油ベースのたれで煮込んだものです。1859年(安政6年)に横浜港が開港し、外国人居留地で暮らす人々が食べていた牛肉料理にヒントを得て誕生したのだとか。牛鍋屋は大人気となり、関東でお祝いの席や法事の際に食されるようになりました。
しかし、1923年(大正12年)に関東大震災が発生。多くの牛鍋屋が焼失してしまいます。その後、関西で親しまれていた「すき焼き」が広まり、自然と「すき焼き」の名前が全国に浸透していったと言われています。同じ「すき焼き」という名前でも、「関東風」・「関西風」・各地域で、調理法や味付け、具材が異なるのは、こうした歴史的背景が関係しているんです。どちらもおいしいので、ぜひ食べ比べてみてください。
調理方法のちがい
関東のすき焼きは「牛鍋」と呼ばれていた名残からか、鍋料理に近いです。「割り下」という合わせ調味料を使い、お肉や野菜を煮て調理します。
一方、関西風のすき焼きは焼肉に近いイメージ。鉄鍋に牛脂を引き、牛肉を焼きながら調味料を加えていくスタイルです。
味付けのちがい
関東風の味付けには「割り下」を使用します。みりん、醤油、酒、砂糖、出汁を合わせたもので、鍋に入れてひと煮立ちさせてから具材を加えます。野菜や肉の旨味が溶け出したまろやかな味わいになります。
一方、関西風は砂糖と醤油で味付けします。まず牛肉を焼き、ある程度火が通ったら調味料を加え、さらに白菜や豆腐などの具材を入れていきます。野菜から出る水分で味が調整されるため、人によって味の濃さが変わるのが面白いところです。煮詰まった場合は、水や酒を加えて調整するのも関西風ならではです。
具材のちがい
関東風の具材は、ちくわぶ、長ねぎ、えのきなどが定番です。特に「ちくわぶ(竹輪麩)」は関東風すき焼きにしか入っていません。小麦粉をこねて作った練り物の一種で、もちもちとした食感が特徴的です。
関西風では、白菜や玉ねぎ、しらたき、豆腐がよく使われます。特に白菜は水分で味を整える役割も果たすので、欠かせない食材です。関東でも白菜を使うことはありますが、水分が多すぎると味が薄くなるため、使わない家庭が大半です。
なお、すき焼きに使われる肉は基本的に牛肉ですが、東北地方では豚肉を使う場合もあります。地域ごとの食材の違いを楽しみながら、家族でお気に入りを探すのもいいです!
まとめ
実は、「すき焼きの日」以外にも「すき焼き通の日」という記念日もあるんです。2008年(平成20年)10月15日、すき焼き文化を記した本『すき焼き通(著:向笠 千恵子)』が刊行されたことにちなんでいます。調理法や食材、食べ方のルールを丁寧に解説しているので、家族で食卓を囲む前に読んでみるのもおすすめです!
1月24日は「すき焼きの日」。明治天皇が初めて牛肉を召し上がった日を記念した特別な日です。すき焼きの名前の由来や、関東風と関西風の違いを、ぜひご家族に教えてあげてください。すき焼きがより特別でおいしく感じられるはずです。
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