住まいの資産価値を維持することは、快適な暮らしを守るとともに、将来的なライフプランの選択肢拡大にもつながります。通常、築年数が経つにつれて住まいの資産価値は低下しますが、しっかりとメンテナンスを重ねていけば、機能性や価値を長く保つことができます。
この記事では、住まいの資産価値を下げないためのコツや、日頃から実践できるお手入れ方法について解説します。
戸建て住宅の売買価格相場
住まいの資産価値を測る指標のひとつが、売買時の平均価格です。立地や周辺環境などによって価格は変動しますが、最も大きく影響するのは築年数です。築年数ごとの平均売買価格の推移は、以下の表のとおりです。
築年数 |
平均売買価格 |
築5年未満 |
4,146万円 |
築6〜10年 |
3,957万円 |
築11〜15年 |
3,768万円 |
築16〜20年 |
3,457万円 |
築21〜25年 |
3,099万円 |
築26〜30年 |
2,586万円 |
築31年以上 |
2,018万円 |
築20年までは緩やかに価格が下がっていきますが、築20年を過ぎると下落幅が大きくなることが分かります。これは木造住宅の法定耐用年数が築22年と定められているためで、建物自体の価格は築20年ほどでゼロに等しくなります。
住まいの価値がマイナスになるポイント
住まいの価値を判断する基準は、築年数だけではありません。経年劣化によって起こるさまざまな症状も、修繕せずに放置していると資産価値の減少につながります。
経年劣化の症状例
- 屋根にひび割れやズレがある
- 雨漏りする
- 外壁の塗装が剥がれている
- 外壁にひび割れがある
- 排水管の劣化で水漏れが発生している
- 壁紙やフローリングなどの内装に傷、汚れがある
- 歩くと床が沈んでしまう
経年劣化が起こりやすいのは、屋根・外壁・水回り・床材です。建物へのダメージを最小限に抑えるために、新築時から計画的に点検して、劣化を早期発見することが大切です。
資産価値を下げないためのコツ
住まいの資産価値をできるだけ維持するには、定期的なメンテナンスが必要不可欠です。住まいの中でも特にメンテナンスが必要な場所を紹介します。
屋根
屋根は日光や雨風に年中さらされているため、劣化しやすい場所です。初期症状として色褪せ・ひび割れが起こり、そのまま放置すると雨漏りが発生してしまう恐れがあります。
最適なメンテナンス時期は屋根材によって変わり、近年定番のスレート屋根であれば8〜10年、瓦屋根であれば15〜30年に1度が目安とされています。屋根のメンテナンスの種類は、塗装・カバー工法・葺き替えの3つが代表的です。雨漏りなどの問題が起きていなければ再塗装で十分ですが、下地までダメージが進んでいる場合は、葺き替えで屋根材ごと取り換える必要があります。
外壁
外壁も屋根と同じように、日光や雨風が原因となり劣化が進みます。チョーキングや色褪せなどの症状から始まり、劣化が進むと表面にひび割れが生じて、将来的に建物全体の寿命を縮めてしまう可能性があります。
外壁のメンテナンスは10年に1度が目安ですが、劣化の進み具合は塗料の耐用年数や環境に大きく左右されます。こまめに点検して、劣化の状態に応じてメンテナンスしてください。主なメンテナンス方法として塗装と張り替えがあり、築年数が浅い場合は塗装の方がコスト面からもおすすめですが、築30年以上になると張り替えを行うのが一般的です。
水回り
キッチンや浴室などの水回りは、毎日使うため劣化や故障によるトラブルが起こりやすく、日頃から注意が必要です。特に気をつけたいのは水漏れで、放置すると壁や床材の腐食を招いて住宅の内部構造に大きなダメージを与えます。
水回り設備の一般的な耐用年数は10〜20年で、その間に必要に応じて修理・交換することが推奨されています。新築〜5年以内は補修や部品交換で済むことがほとんどですが、10年を経過すると設備本体の交換が必要になってくるケースもあります。水回り設備は点検箇所が多いため、ご自身でのチェックが難しいと感じたら、専門業者に定期点検を依頼することをおすすめします。
日頃のお手入れも大切!
住まいを良い状態で長持ちさせるには、定期的にメンテナンスを行なうだけではなく、日常的なお手入れも必要です。今回は、場所別にお手入れの基本的なポイントを紹介します。
キッチン
水アカや油汚れなど、さまざまな要因で汚れが溜まりやすいのがキッチンです。汚れの性質に合った洗剤を使い分け、効率的に掃除を進めましょう。
油汚れには、重曹やセスキ炭酸ソーダなどアルカリ性の洗剤が効果的。重曹を使うときは、重曹と水を2:1の割合で混ぜてペースト状にすると使いやすくて便利です。また、水アカには酸性洗剤が効きます。手軽なのはクエン酸を使った掃除で、水200mlに小さじ1杯のクエン酸を溶かしたスプレーを汚れに吹きかけ、水拭きと乾拭きをすれば完了です。
浴室
浴室は湿気が溜まりやすいため、カビが発生しがちな場所です。また、入浴のたびに皮脂汚れや石鹸カスなどが混ざり合い、そのまま放置すると頑固な汚れの原因になります。
普段の掃除としては、浴槽の内側をスポンジで軽くこすり、シャワーのお湯で洗い流すだけで十分です。仕上げにスクイージーで水気を拭き取ると、水アカやカビを予防できます。
床・壁
床掃除は、掃除用ワイパーや掃除機を使い、ホコリや髪の毛を取り除くのが基本。落ちにくい頑固な汚れを見つけたら、固く絞った雑巾でしっかりと拭き取ればOKです。
また、壁は他と比べると掃除の機会が少ない場所ですが、空気中のホコリや手垢など、意外と汚れが付着しています。掃除するときは、まずハンディモップで表面全体の汚れを落とし、目立つ汚れは中性洗剤と雑巾を使って落としてください。
まとめ
住まいは消耗品ではありませんが、経年劣化を避けることは困難です。価値ある資産として維持管理していくためにも、定期的に点検やメンテナンスを実施してください。将来的にライフプランの見直しなどで売却する場合も、資産価値の高い方が、さまざまな面において有利に働きます。
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