自宅の防犯カメラもプライバシー侵害?
防犯カメラは犯罪抑止にとても効果があります。多くの家庭が、さまざまな迷惑行為から家族を守るためにカメラの設置を検討します。犯罪を未然に防ぐことはもちろん、発生した際の証拠としても使えるというメリットが大きいですね。しかし、使い方によってはプライバシー侵害のリスクも高まるというデメリットも存在します。
ここからは、自宅に防犯カメラを設置する際でもプライバシー侵害に当たるのかどうか解説していきます。
目的が「犯罪防止」ならOK?
「防犯カメラを設置する目的が、犯罪防止・いたずら防止ならいいのでは?」と思う方も多いでしょう。
- 敷地への不法侵入
- 車へのいたずら(傷をつけられる、タイヤをパンク)
- ごみを敷地内に投げ入れられる
- ペットの命に関わるようないやがらせ
- 私有地の無断駐車・違法駐車
そもそも防犯カメラを設置すること自体は法律で禁止されていません。不法侵入や強盗などの抑止を目的とし、自宅の敷地内(庭や玄関先)を撮影していれば、問題視されることはほぼない、と考えてよいでしょう。
特定できると個人情報扱い
しかし、防犯カメラが撮影している映像の中に、ご近所さんや通行人が特定できる情報が含まれている場合、その映像は個人情報として扱われることになります。
個人情報と聞くと、名前やメールアドレスをイメージするかもしれませんね。個人情報は「特定の個人を識別できる情報」と定義されていますから、はっきり顔の分かる動画(写真)も該当します。つまり、防犯カメラの撮影範囲に人が映り込んでいて、それが誰なのか判別できる状態なら、無断で共有または公開する行為はプライバシー侵害と見なされるのです。
隣人が「監視されている」と感じるかも
防犯カメラの位置や角度によっては、意図せず隣家のプライベートな空間を映し出してしまうことがあります。カメラが隣家の窓や庭に直接向けられていると、隣人は「監視されているのでは?」と感じるかもしれません。このような状況は不信感や緊張を生み出し、最悪の場合、深刻なトラブルに発展することも考えられます。
防犯カメラを設置する時の注意点
自宅に防犯カメラを設置する場合、いくつかの注意点があります。近隣トラブルを起こさないよう、設置前に必ずチェックしてくださいね。
隣家の玄関先に向けない
防犯カメラを設置するとき、隣の家の玄関や窓にカメラが向いていないか、よく確認しましょう。カメラの位置や角度を調整して、撮影範囲が自宅の敷地内に収まるようにしてください。もし不安な点があれば、設置前にお隣さんと話し合うのもいいですね。相手の意見を尊重し、協力して防犯対策を行うことで、みんなが安心して暮らせる環境を作りましょう。
公道が映るなら自治体や警察に相談
もし防犯カメラが公道を捉えてしまう場合は、撮影が地域の法律や規則に違反していないか、自治体や警察に相談しましょう。
地域によっては、防犯カメラの設置についてガイドラインが設けられています。例えば東京都荒川区では「防犯カメラの設置及び運用に関するガイドライン」が公表されており、撮影範囲や画像データの保管方法について具体的な規定があります。設置前にお住まいのエリアのルールを確認しておくと、余計なトラブルを防げるでしょう。
映像をSNSにアップしない
防犯カメラで撮影した映像をSNSなどにアップロードするのは避けましょう。人が識別できるような映像を公開する場合、本人の同意が必要です。無断でネット上にアップするのはプライバシーを侵害する行為であり、法的な問題を招くことがあります。
防犯カメラの映像は設置者や家族だけが閲覧できるようにし、外部に公開しないようにしましょう。
プライバシーマスク機能を使う
防犯カメラの「プライバシーマスク機能」を活用しましょう。プライバシーマスクでは、特定の範囲は映し出すものの、他の部分を黒塗りにして見えなくすることができます。
例えば、カメラの設置場所や角度によっては不本意ながら隣家の敷地が映り込んでしまうこともあります。そんな時にプライバシーマスクを使えば、隣人のプライバシーを守りつつ、防犯目的も果たすことができます。
まとめ
今回は自宅に防犯カメラを設置する前に確認しておきたいポイントを紹介しました。防犯カメラは犯罪防止に効果的ですが、周りの人に不安を与え、近隣トラブルの原因となることもあります。ご近所さんとの良好な関係を維持するためには、設置場所や角度・運用方法をしっかり考えなければいけません。
防犯とプライバシーのバランスを考え、誰もが安心して生活できる環境を整えましょう。
一覧へ戻る