太陽から降り注ぐ光に含まれる紫外線(UV)の量は3、4月ごろになると急激に増えはじめ、6月から8月にかけてピークを迎えます。カンカンに晴れている日はもちろんのこと、曇り空でも晴天時の半量程度の紫外線が降り注ぐと言われています。
最近は紫外線のダメージに対する意識が高まり、外で過ごすときは日焼け止め剤や日傘、帽子などで日焼けを防ぐ対策をする人が増えました。 しかし侮れないのが、家の中の紫外線。「室内だから大丈夫」と考えている人も多いでしょう。 紫外線の中でも、深い部分まで到達するA波(UV-A)は、窓ガラスや薄いカーテンをすり抜けて室内に入ってきます。直射日光の当たる戸外の紫外線照射量を100%とした場合、日の当たる窓辺で約80%。窓が大きめ、あるいは窓の数が多い、南向きや西向きで直射日光が差し込むような部屋の場合は注意が必要です。
紫外線は目にもダメージ
紫外線による体へのダメージというと 、真っ先に思い浮かぶのは日焼けでしょう。日焼けをした肌は赤く腫れる、水膨れになるといった炎症を引き起こします。さらに、こうした一時的な症状だけでなく、しみやたるみ、くすみなど光老化(フォトエイジング)の原因になります。
そしてもうひとつ、忘れてはならないのが「目」に対するダメージ。 目は外部にさらされているため、紫外線は角膜(黒目)や白目を覆う結膜に直接ダメージを与え、炎症による充血や痛みなどの症状を引き起こします。 春スキーなどで起こる「雪目」は、紫外線による典型的な目のトラブル。春の訪れとともに強まった日差しが、白い雪面で反射してさらに増強することが原因で、浴びてから数時間経つと激痛が生じます。 さらに春よりも紫外線量が増える夏場も、こうした目の急性症状が起こりやすく、注意が必要です。
室内への紫外線は窓でブロック
また、ダメージが蓄積されていくのも、紫外線の怖いところ。長期間紫外線を浴び続けると、結膜の白目組織が黒目にまで広がる「翼状片」や、レンズの役割をしている水晶体が濁る「白内障」などになりやすいことがわかっています。 長時間、強い直射日光を浴びるマラソンやマリンスポーツをする場合はサングラスやサンバイザーで目をしっかり守りましょう。ふだん外を歩くときもできれば日傘などを活用して、肌とともに目を守りたいものです。
では家の中にいるときは、どのような紫外線対策をすればいいのでしょうか。 室内への紫外線の主な侵入経路は窓。窓に対策をするだけで、紫外線のほとんどをブロックすることが可能です。
手軽な対策は、UVカットカーテンやUVカットサンシェードを利用する方法。UVカット加工が施されているカーテンはもちろん、遮光カーテンでも紫外線の侵入を防ぐ効果があります。
肌や目の紫外線対策はエコに直結
より紫外線防御効果を高めたいなら、窓そのものに対策を。ホームセンターなどで市販されているUVカットシートやUVカットフィルムを貼ってみましょう。専門業者に作業を依頼することもできます。また凹凸のある窓などシートやフィルムを貼ることができない場所は、UVカット成分を含んだ溶剤を塗るという対策も。
窓ガラス自体をUVカット効果があるものに変える方法もあります。さまざまな製品が登場していますが、特に注目したいのがLow-E複層ガラスです。Low-Eの「E」はエネルギーのこと。ガラスの間に特殊な金属や空気をはさむことによって、太陽の日射熱を50%以上カットするので、紫外線の室内への侵入を防ぐことができます。肌や目へのダメージだけでなく、西日対策や紫外線によるカーペットや畳の色あせも抑えてくれます。夏は涼しく快適、冬は暖房熱を外へ逃がしません。 目と肌に優しい窓ガラスで日射熱を抑え、冷暖房効率もアップ。地球やお財布にも優しい対策と言えそうです。
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