建物の壁には通常断熱材が使用されていますが、どのような種類があるのかご存知ですか?
断熱材にはいろいろなものがあり、素材や形状、用途はさまざまです。
大きく分けると次のように分することができます。
①素材による分類
断熱材は素材によって「細かい繊維の間に空気を閉じ込める繊維系断熱材」と、
「独立した気泡の中に空気を閉じ込める発泡プラスチック系断熱材」の2つに大別できます。
②形状や用途による分類
繊維系断熱材は密度によって形状が変わり、綿のような密度のフェルト状が一般的で、
密度の高いものにはボード状のもの、吹込み用にはばら状のものがあります。
発泡プラスチック系断熱材には、工場で成型されて出荷されるボード状の製品の他、
現場発泡の断熱材があります。
③透湿性による分類
外壁などの断面構成において、透湿性(水蒸気の通しやすさ)は、とても重要な意味があります。
透湿抵抗の大小によって断面の構成が異なり、透湿抵抗の小さな断熱材には防湿層が必要です。
それぞれの断熱材の特徴についてまとめてみました。
1)繊維系断熱材
a:グラスウール
・ガラスを細かい繊維にして綿状に加工した断熱材です。
・フェルト状断熱材、ボード状断熱材、ばら状断熱材があります。
・床・壁・天井と住宅のほとんどの部位に使用可能です。
・厚さや密度が高くなるほど断熱性能にすぐれ、軽くて使いやすいのが特徴です。
・無機質なので不燃材で、発泡ガスも使用していません。
・吸音性能もあります。
b:ロックウール
・耐熱性に優れた鉱物を高温で溶かして、細かい繊維状にした断熱材です。
・フェルト状断熱材、ボード状断熱材、ばら状断熱材があります。
・床・壁・天井と住宅のほとんどの部位に使用可能です。
・撥水性、耐熱性、吸音性があります。
c:セルローズファイバー
・天然の木質繊維(古紙)を利用したばら状の断熱材です。
・繊維の中にある気泡に含まれる空気が断熱性、吸音性を発揮します。
・木質繊維なので、素材そのものに湿気を吸収したり放出したりする機能があります。
d:インシュレーションファイバー
・木材の端材や廃材及び間伐材、林地残材を繊維化しマット状または板状に整形した断熱材です。
・絡み合う木質繊維の間に空気を含んでおり、その気泡により吸音性、断熱性を発揮します。
・木質繊維の周りの空気の湿気を吸収、放出して湿度を調整する性能があります。
・床・壁・天井・屋根等の断熱材として使うことができます。
2)プラスチック系断熱材
e:ビーズ法ポリスチレンフォーム
・一つ一つの粒の中に独立した気泡構造を持ったボード状の断熱材です。
・水や湿気に強い特徴があります。
・金型による成形品のため、自由な形に仕上げる事ができ、板、筒などさまざまな製品が製造されています。
f:押出法ポリスチレンフォーム
・断熱材を建物の外側に張りつける外張断熱工法に適したボード状の断熱材です。
・水に強く、耐湿性があるため、基礎や土間床の断熱にも使用可能です。
g:硬質ウレタンフォーム
・微細な独立気泡で形成された断熱材です。
・気泡には、熱伝導率が極めて小さいガスが含まれています。
・ボード状に加工された製品のほかに、施工現場で直接吹き付けて使用する現場発泡品があります。
f:ポリエチレンフォーム
・細かな独立気泡で発砲された耐吸湿・耐吸水性の高い断熱材です。
・柔軟性があるため、他のプラスチック系断熱材と比べると隙間なく施工することが可能です。
・床、壁などのほか、屋根や屋上、配管カバーなど断熱・防水と用途も多彩です。
i:フェノールフォーム
・独立気泡構造を持つボード状の断熱材です。
・130℃までの使用に耐える耐熱性があり、防火性にも優れています。
・炎があたっても炭化するだけで、煙や有毒ガスはほとんどでません。
どのような用途で使うのかによって、最適な断熱材を選びたいですね。
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