こんにちは!本多建設の本多和彦です。 ・ 4月1日、私の友人というより、 私より三つ年上ですから、私の先輩でもあります Fさんが亡くなりました。 そのことを今朝の朝刊で知ったFさんの友達から 知らせを受けました。 家族葬のようで、知人には誰にも 知らせなかったようです。 ・ 菩提寺がわかったので、その友人と私とで お墓に詣で一対のお花を手向け、ベトナムで お世話になったお礼を行ってきました。 私より三歳上ですから。76歳、ガンでした。 ・ Fさんは常時ベトナムのハノイに住んでいました。 Fさんから聞いたところでは、彼が60歳ころから ハノイで一人暮らしをしていると聞いています。 かれこれ16年以上も暮らしていたようです。 ・ 丁度今から10年前の2011年、 あの大震災のあった年です。 その年の9月、私は一人でハノイに行きました。 Fさんの友人で、私の二つ上の先輩のNさんが 3か月程ハノイで日本語学校の先生をしているから 来てみないかとの誘いもあり、私も63歳、 体力、気力もまだまだのうちに、 かねてからやってみたいことの一つに、 ベトナム縦断の旅がしたく、 これは私の大好きな作家、沢木耕太郎の著書、 「ベトナム、1号線を北上せよ」の本に憧れて、 機会があればと思っていたところ、好機到来、 善んは急げ、とばかりに二つ返事で 「行きます」といった次第です。 ・ その時にたまたま米沢に帰ってきていた Fさんを紹介されハノイでの案内を 引き受けてもらいました。 ハノイから南のホーチミンまで1800km、 電車の旅、今思い出しても実に楽しい 思い出でした。 ・ 私には香港人の友人がいます。彼とは同じ歳で、 当時は仕事をリタイアして、悠々自適に 暮らしているので、ハノイで合流して一緒に 電車の旅を誘ったところ、彼も即答、「OK!」。 そして二人のベトナム縦断電車の旅が 始まりました。 ・ ハノイの街を3日間Fさんに案内してもらい、 4日目ハノイからフエまで700kmの電車の旅に、 なんとFさんも一緒に同乗してくれました。 フエという街で一泊、そこからバスで移動して ホイアンで一泊、宿の手配もFさんにしてもらった ところ一泊素泊まり10ドル、 つまり約1000円のバックパッカーが利用する ホテルで、最初は心配でしたが案外部屋も広く、 シャワーもついていて、まあ、 快適に近い感じでした。 こういうホテルをFさんはベトナムではいつも 利用するようです。 Fさんがいなければ、 若いころなら勢いでできるかもしれませんが、 還暦過ぎの老人にはなかなかトライする勇気が ありませんから、貴重な体験でした。 ・ 翌日、ホイアンから大都市のダナンに タクシーで向かい、そこで我々二人はさらに 南下する為に電車に乗り、一路ホーチミンを目指し Fさんはダナンから飛行機でハノイに戻りました。 ハノイに着いてから延べ6日間、 ずーとお世話になりました。 ・ Fさんは生来、頼まれるとなんでも 引き受けるような気の優しいおっとりとした人柄で それと、どこか浮世離れしているような、 あまり先のことは心配せず、なんとなく成り行きで 生きてるような気がします。 お金にもあまりこだわりませんし、 だから16年以上もベトナムでたった一人で 暮らしてこれたのかもしれません。 ・ ある時、Fさんに尋ねたことがあります。 「Fさん、体のどこも悪くはないんですか? 健康診断なんてしてるんですか?」 Fさんいわく「今のところどこも悪くはないし、 健康診断もしたことがないよ。もっと歳を取って、 体がきかなくなったらいずれ米沢に帰ることに なると思うが、その前に、ベトナムでポックリ 逝くかもしれないし、その時はその時だよ。」 仙人の言葉のように感動しました。 ・ たまたま昨年3月、急用のため米沢に帰ったところ コロナの影響でベトナムには帰れず、 当分アパートを借りて、帰れる時期を待つと 言っていたところ、8月ころから体調が崩れて、 病院に行って診てもらったらガンが発見され、 闘病生活を送っていたようです。 その間私とは一度しか会っておらず、 昨日の4日、新聞の死亡欄で知ったのです。 なんとなくFさんらしい身の処し方だなあと 思いました。 ・ 人には様々な生き方があります。 Fさんがなぜ還暦も過ぎてからたった一人で 縁故もないベトナムに行ったのか、 そこで暮らして何を見ていたのか、 何をしたかったのか、私にはわかりません。 二人で酒を飲みながらそんな話も したこともありますが、Fさんはにこにこして はっきりといいませんでした。 Fさんと同類項のような私ですから、 あまり気にもせず二人でとりとめのない話を 異国の空の下で延々としていた事が 思い出されます。 ・ 今思えばすべてが夢のような ベトナムでの日々でした。 いつの日かまたハノイに行くことがあったら、 街中でひょっこりFさんと出会うような気がします。 「いやー、本多さんひさしぶりー! 今回は誰と一緒?ホテルはどこ? 明日何時に迎えにいけばいい? 今夜の夕飯はどこにする?・・・・・・・・・」 ・ 2021.04.07 |