こんにちは! 本多建設の本多和彦です。
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週に2回は自宅で、私たち夫婦と娘夫婦たちの夕食を私が作ります。
いつの間にかそんな流れになってしまいました。
学生時代ワンダーフォーゲル部にいましたから、つまり山登りをしていたんで、
合宿は当然山の中で自炊します。そこでカレーやシチューや豚汁の作り方を教わりました。
なんのことはない、三つとも具は同じで、味付けが変わるだけですから、簡単なものです。
曲がりなりにも包丁の使い方も覚えました。今でもキャベツの千切りやネギのきざみなどは得意です。
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多分その頃から料理を作るのが好きだったのかもしれません。
定年を迎えた同級生が夕食の仕度は俺がするのだといって、料理の本を買ってきては
本格的に調理する人がいますが、私はそこまで徹底できず、
たいがいは魚がメインであれば、焼き魚と切り昆布の煮物とおひたしとか、
肉では牛丼風に牛肉を煮込み上からさっと卵でとじたりとかします。
週に一度カレーを作り、メニューのヴァラエティーを若干増やします。
要するに夕食の準備は、始めてから出来上がるまでを1時間以内と決めて、
それ以上かからないようにすることを原則としています。
何故なら料理に夢中になると、そのうち必ず飽きがきて、作ること自体が嫌になるような気がするので。
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私の大好きな作家・池波正太郎は小説の中でもよく食べ物や料理の仕方などがかいてあります。
私はそれを読むとのどがゴクリとなって、簡単な物であれば作ってみることがあります。
物語の雰囲気とその料理が実にぴったりマッチするのには驚きます。
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仕掛け人藤枝梅安の本の中にこんなことが書いてあります。
梅安と相棒の彦次郎はお金をもらって、悪人を殺すのを裏の家業としています。
二人ともいつ命を落とすかわからぬ日常生活で、食べることと飲むことを大事にしています。
美味しい物を食べながら、酒を飲むときの二人の会話に絶妙なあうんの呼吸が生まれます。
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とっぷりと暮れてから、梅安と彦次郎は、居間の長火鉢へ土鍋をかけ、これに出汁を張った。
笊に、大根を千六本に刻んだのを山盛りにし、別の笊には浅蜊の剥き身がはいっている。
鍋の出汁が煮えてくると、梅安は千六本を手づかみで入れ、浅蜊も入れた。
刻んだ大根はすぐ煮えあがる。それを浅蜊とともに引き上げて小皿へとり、
七色唐辛子を振って、二人とも、汁と一緒にふうふういいながら口へ運んだ。
「うめえね、梅安さん」
「冬が来ると、こいつ、いいものだよ」
酒は茶碗で飲む。
(中略)
「ああ、ずいぶんとのんだ」
「飯にするかえ?」
「ああ、そうしよう」
「今夜は泊まっておゆき」
「そうさせてもらいてえね」
それから二人は、炊きたての飯へ、大根と浅蜊の汁をたっぷりとかけ、
さらさらと掻き込むようにして食べた。香の物も大根である。
「彦さん・・・・・」
「え・・・・・?」
箸をとめて藤枝梅安が、「とうとう白いものが落ちてきたようだね」と、いった。
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うまそうな場面でしょう!
何度も作っては一人、酒を飲みながら梅安になりきっていました。
試しに一度はいかが!
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2017.06.08
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