こんにちは! 本多建設の本多和彦です。
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石倉三郎という役者、知ってますか?
先日ガソリンを詰めて、洗車の間、近くの本屋に立ち寄りぶらぶらと眺めていたら、
「粋に生きるヒント」・石倉三郎の本があり、前々から好きな役者だったので迷うことなく買いました。
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今では名脇役として知られていますが、顔と名前が一致する人は少ないかもしれません。
私たち世代では、コント・レオナルド、故レオナルド熊とコンビを組んでブレイクした人で、
解散してもともと役者志願だったので、役者にもどり、北野武の「座頭市」やテレビでは悪役はもちろん、
頑固一徹な刑事役にも数多く出演している役者です。
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1946年、香川県は小豆島の生まれで、今年70歳になります。
祖父は大阪の船場で料理の仕入屋をやっており、いい羽振りであったようで、昭和20年の大阪空襲で焼け出され、
祖父、父親とも小豆島に疎開し、終戦後大阪に戻れず、祖父は亡くなり、父親は日雇い仕事の土方をし、
貧乏のどん底に三郎は生まれたと書いてありました。
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高倉健との出会いで、東映の大部屋俳優として役者人生が始まりましたが、その間、
東映を辞め、コントをやったり、坂本九の歌謡ショウの専属司会をやったり、喧嘩が強かったようで、
大物女優のボデイガードをやったり、不遇な時代が長かったようです。
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東映入社時、彼の本名は石原三郎、当時東映の事務員に石原という同姓のひとがいたため、
ややっこしいので名前を替えろといわれ、考えたあげく高倉健さんからの紹介だから、一字もらい、
「石倉三郎」になったとあります。健さんをずーと尊敬してたんですね。
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映画出演が多くなり、そこそこ売れ出してから、サインを求められるようになると、
時折、色紙に一言書いてくれと頼まれればいつも書くことは決まっていて、
三つのうちのどれかひとつを書くことにしているといっています。
それが実にいいんです!石倉三郎らしいというか、苦労人でなければ言えない言葉なんですね。
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ひとつは人生の方針:「棚からぼた餅」
ぼーとしてるのに向こうからいいことが勝手にやってくる。
但し、ただ突っ立てるだけじゃ一生ぼた餅なんか落ちてこない。
自分が棚の下に立っていること、それもぼた餅が乗っている棚の下に。
最低限自力でそこまでは足を運ばなきゃ一生「棚からぼた餅」には巡り会えないよ。
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二つ目は:「濡れ手で粟」
骨を折らずにいい思いをする、ということわざ。
ひと行動起こすときに、先を考えて行動しろ。そうすれば「同じアクションで、返りがでかい」。
粟をつかむには手を濡らしておいたほうが簡単につかめる。
冷たい水に手をつけるのは誰でも嫌がる、だから自分だけがたくさん取れる。
要するに下準備をおさおさ怠るなってこと。
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三つ目は:「果報は寝て待て」
昔から「役者は待つのも仕事のうち」という言葉がある。基本的に役者というのは、
陳列棚に並んでる七味唐辛子の瓶みたいなもの、誰かに手を伸ばして取ってもらわないうちには仕事にならない。
じっと待っていると埃がたまり、誰も埃だらけの瓶をとらなくなるから、自分の埃を自分で払い、
身ぎれいにして待っているしかない。「誰かが見てござる」とつぶやきながら。
待ってる間は暇だから、寝るもよし、十分に力を蓄えておけということなんだな。
若い頃はそれが出来なくて、寝ないでうろついてしまう。
歳を取ってからわかるようなもんだと思う。
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どうです!なかなか格好いい言葉でしょう。
この本を読むと、出会った人との付き合いをいかに大切にしてきたかがかります。
若い頃、飲みに誘われて一度も断ったことがないというのも彼の優しさなんでしょうね。
ますますその個性を役者人生に活かして素晴らしい名脇役になってもらいたいものです。
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