こんにちは! 本多建設の本多和彦です。 |
私のブログやニュースレターにもたびたび紹介している、沢木耕太郎 |
という作家がいます。バックパッカー旅行記「深夜特急」という |
ベストセラーになった本の作者です。この人の作品の中に |
「天涯1」~「天涯5」というタイトルの文庫本があります。 |
世界中を旅して、彼が撮った写真を掲載し、彼のライフワーク |
かもしれない旅というものを書いてあります。 |
「天涯」とは岩波国語辞典では「空の果て。また、故郷を遠く |
離れた土地。」とあります。まさにこの一言が旅を象徴しています。 |
「天涯1 鳥は舞い、光は流れ」の文中に、そうだこれこそが |
まごうかたなき「旅」なんだ!というのがあります。少し長いけど |
私の旅はこれなんだよと知ってもらいたくて、紹介します。 |
「眼を覚ますと、私はベッドに横たわっている。分厚いカーテンに |
遮られた窓からはほとんど光が入ってこない。部屋は暗く、自分が |
どこにいるのかわからなくなる。そこでゆっくりと体の隅々に意識 |
を送り込むと、まず頭の上にのせている枕がいつもと違う柔らかさ |
であることに気づく。次に、体を覆っているのが布団ではなく、さらり |
としたシーツと毛布であることに気づく。その瞬間、私は旅の |
第一夜を繁華街にあるホテルで送っていたのだということを思い |
出す。 |
耳をすませば、かすかに街のざわめきが聞こえてくる。私は |
毛布をはねのけると、ゼンマイ仕掛けの人形のように飛び起きる。 |
シャワーを浴び、髭を剃り、一階のカフェレストランでビュッフェ |
スタイルの朝食を取る。紅茶を飲みながらガラス窓を眺めると、 |
通勤途中の人々が白い息を吐きながら速足で通り過ぎていく。 |
私は、そのなんでもない風景に心を動かされる。 |
私は部屋に戻り、コートを羽織り、ホテルを出る。回転扉から通り |
に一歩踏み出すと、初冬の朝の外気が皮膚に突き刺さってくる。 |
しかし、その鋭い刺激はほとんど快感と区別しがたいほどのも |
のだ。 |
私は盗まれて困るようなものを持っていない。だから荷物のすべ |
てはホテルに残したままである。パスポートと現金をコートの |
ポケットにいれている以外、手に何一つ持たずに街を歩き始めた |
私は、異邦の街の中にあって、透明な存在になったような心地 |
よさを感じている。私はこの街で何者でもない。この街の住人で |
はもちろんなく、ある意味で旅行者でもない。ただ、目的もなく |
街をさまよっているひとりの異邦人にすぎないのだ。」 |
来月中旬、3度目となるバリ島に行ってきます。14人くらいの |
団体ですが、私なりの旅を満喫してきます。その話は後日。 |
2015.01.27 |
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