「夢十夜」(夏目漱石)でのお馴染は
第五夜でしょう。
有名な"運慶"が登場するお話です。
"運慶"が彫刻を彫っているのではなく、
木から取り出しているという発想は
落雷のよう。
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10の夢物語で、
私の2番手は第三夜。
自分の殺した子供を背負いながら、
忘れていた百年前の記憶が
少しづつ、少しずつ
言い知れぬ恐怖と共に
蘇るお話です。
殺人を感じたことのない私も
ある種の現実味をもって
頭に"殺人"の恐怖を再現するような展開。
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読後感はうまく書けません。
しかし、
今の戦争に思い知らされるように
支配、殺戮は、
人間の原罪(sin)かもしれないと
痛感してしまいます。
心の中の小さな不安が
徐々に恐怖に成長していくストーリー。
心地よい読書とはなりませんが
"夏目漱石" を知る
大きな手がかりとなる作品のように思います。
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