100余年の歴史を持つノーベル賞が、今年も発表の季節となりました。
過去には日本人の優秀な研究者が多く受賞したノーベル賞のニュースを
皆さまは、どのような思いでご覧になられましたか?
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私が一番注目する賞は「平和賞」と「文学賞」です。
(文学賞では、私が期待していた村上春樹さんが惜しくも今年も受賞を逃しました。)
「平和賞」はフィリピンのジャーナリスト、マリア・レッサさんとロシアのドミトリー・ムラトフさん。
レッサさんの「沈黙は共犯」というメッセージがショックでした。
アフガニスタン問題をはじめ「民主主義」「言論の自由」を守るために日々私がしていることは、
ただニュースで現状の一部を知るだけ。
かつて、北朝鮮による日本人拉致問題で、横田早紀江さんがメディアに「この問題を忘れないでいてくれることも皆様からの私たちへの支援です。」と述べておられました。
確かに私にはそうすること(=拉致問題を忘れない)しかできないと思って暮らしてきました。
時にコンビニの募金箱に少しばかりのチャリティをしたり、"本当にこのお金が困っている人たちに届くのかしら"と懐疑的になったり、
私の「心の愛」は迷子にる時も。
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私の尊敬する人に、マザー・テレサ、緒方貞子、犬養道子(敬称略)がいます。
マザー・テレサはノーベル平和賞を受賞しました。
確か「世界の偉人伝」で読んだのだと思います。
当時、マザー・テレサの元に世界中から集まったボランティアに対して伝えた彼女の言葉が印象的。
「国へ帰ってあなたの身の回りの人々(身近な人)を、まず幸せにしなさい。」
テレサは、若き海外ボランティアに無理難題を出して、自分達から遠ざけたそうです。
つまりは真に必要な「助け」でないものは、テレサたちの活動の邪魔であったのです。
(犬養道子も語っています。
現地にボランティアに来た日本の若く純真な乙女たちの事を
「目の前にオムツを必要な赤子を見ても、自分の服を裂いて与えるという発想もない。」と。
決して批判しているのではなく、ただ現実を述べられておられました。)
とはいえ、エピソードからテレサの優しさも伝わってきませんか。
これは私なりの解釈です。
マザー・テレサは彼ら、彼女たちに2つの重要な事を教えたのだと思います。
1つは、まず自分ができる小さな事から始めなさいという事。
それは行動することの大切さです。
ただ知る事、忘れないでいる事だけでは何も解決できない。
もう1つは世界の現状です。
「今」そして「今日」を生きるに難い人たちが多くいて、
その人たちは何を必要としているのか。
それに気が付いて欲しかったのではないでしょうか?
かなりシビアなテレサの一面を書きましたが、
一見冷たく? 自国へボランティアを還したテレサは、間違いなく彼ら、彼女達を祝福していたと思います。
テレサの信念は「(キャンプで暮らす)この子供たちに生まれてきて良かったと思ってもらいたい。」
信仰深い両親のもとで育ったテレサ。この揺るがない思いで "自分の人生" を生き抜きました。
彼女は「民主主義」「言論の自由」の獲得よりも、もっと命の根幹的なこと・
「今、まさに生ける命を救う」ことに尽力した神様からの贈り人であったと思います。
今年のノーベル平和賞は、私自身もマリア・レッサの指す "共犯者である" と感じさせられたニュースでした。
~~~ミニ知識「ノーベル平和賞」~~~
ノーベル賞の中で「平和賞」の授賞式のみノルウェーで行われます。
他の授賞式はスウェーデンで行われます。
創設者ノーベルがスウェーデンとノルウェー両国の和解と平和を祈念したことに由来します。
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