秋の空の下。
笑顔の紳士が自転車でさっそうと駆け抜けていく。
一方、大荷物を両手いっぱい抱え、こちらもスマイルのご婦人が足早に去ってゆく。
行先はお決まりのコンビニ駐車場かいつもの公園。
二人はこのあたりの"ちょっとした有名人"。
共通点は初期のアルツハイマ―型痴呆症である事と裕福な経済状況。(人伝ではあります)
私もこのカップルを見かけない日は、なんとなく落ち着かない。
外で一緒におしゃべりしたり公園の小石集めを楽しんだり、コンビニのスナックを仲良くシェアしたり。いつも幸せな二人です。
周りの人(俗にいう心のヤジウマ)は彼女に荷物の中身や年齢まで訪ねては興味深々! 私も同様!
コロナ禍が頭にあるかどうかは不明ですが、二人ともマスクはしてない。
「待った~?」「大丈夫だよ~。今日は公園で待ち合わせかと思った。」
仲睦ましい会話も聞こえてきます。
二人にとって、外の世界で何が起こっても「幸せ」は変わらない。
原爆もコロナもミャンマーの政変もタリバンも・・・何も二人の内なる魂には介入しないのですね。
「・・・思い煩うな・・空を飛ぶ鳥えさえ神様は養ってくださる。・・・」(マタイによる福音書 第6章26節) (意訳)
人生は短い。"心の平和は自分で創れる"。 カップルからのメッセージなのかしら。
が、皆が羨む二人にも、やがて辛い別れがやってきた。
いつもの公園で二人の言い争いを見たとのうわさ以来、一緒の姿は見かけない。
人づてに「彼氏」は養老介護ホームに入居させられた? そうです。
「彼女」は、河岸を他のスーパーやコンビニに替えました。 変わらないのはマスク無しと両手の大荷物。
少し前、「彼女」はコンビニの前で警察官に囲まれていたそうです。
別世界を生きていて「幸せ」であり続けてほしかった二人にも"運命"がやってきた?
でも、きっと今では新たな "喜び" や "輝き" と出会っていることでしょう。
・・・地球誕生の歴史からみれば、現代社会の事象も "あっという間" のこと。
最近何かで読みました。「二束三文の命だから色々な事をやってみるのもオモシロイ」
あまり思い悩まず過ごしていけば"道"があるのかしら。
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