旅から帰って「インドの感想」を書きたいとおもっていたのですが、帰ってくれば、台風19号の災害でした。
ノー天気に書いてはいられないと、みおくっていました。
しかし自分の中にいつまでもとどめておくと、先にすすめません。
寝ていても頭の中をグルグルと廻っています。というより忘れてしまいそうです。
インドで思ったことかんがえたことを簡単に書いてみます。
なぜインドなのかと言えば、香港に飛行機とホテルだけ決めてのフリーコースを3月に予約していましたが、どう見ても行ける状態ではないと、急遽変更してのインドでした。
義母のショートステイの日程変更をしなくてもいい日程と行先の中に「ベナレス」を見たからでした。
その昔、遠藤周作の「赤い河」を読んで、ガンジス川のほとりに立ってみたいと思っていたのでした。
11年前、研修先がインドとなった時、もう1度「赤い河」を読みましたが、あいにく行先に含まれていなかったのでした。
それがとても心残りだったのでした。
今回11年前と比較してどうだかと言えば、確かに変わっていました。
ゴミと路上生活者と物乞い・・・・前回の記憶ですが。
デリーは比較的きれいになっていました。
道路も良くはなっていましたが、車量に比較して絶対量の不足は解消されていません。
夕方になると道端で煮炊きする人の姿も見ませんでした。
軒先で寝ている人の姿も減っていました。
しかし夜デリーに到着して翌日はやばやと飛行機でベナレスに向かうようになっていました。
飛行機の出発は1時間55分遅れです・・・・まあ―飛ぶだけいいとか・・・・インドにきたらハブニングを楽しんでくださいと言われました。
別に急ぐ旅でもありませんから(笑)
只々お昼時間が大幅に遅れただけです。
ホテルに入り「ガンジス河の夕べの祈り」の見学まで一休みします。
ホテルの窓からトンボの飛ぶのを見下ろしていました。
階下から昨夜と同じような音が響きます。
ホテルで真夜中太鼓の音が眠りを妨げましたが、どうも昨夜は結婚式のお流れがあったらしくすごい騒ぎだったのでした。
今回の太鼓はインドの大富豪がホテルにきたので、その歓迎だったようです。同行者は一緒に写真に納まっていました。
ホテルの玄関には確かに民族衣装を来た太鼓を持った人がいましたもの。
インドでは結婚式に一番お金をかけるのだとか、いやかかると言った方がいいのかな。
ガンジス川には車に分乗して出かけます。
初めて見たベナレスの街ですが、これは昔のままなのでしょうか。
11年前に見たインドのどの街よりも、きれいではありませんでした。
雑踏とゴミと、軒先に座ったり横になっている人の姿が半端ではありません。
その中を牛と犬が気ままに歩いています。
祈り場に近づくと、老人が目立ちます。物乞いなのか死を待つ人なのかわかりません。
ガイドは私たちがよそ見をする時間を与えません・・・・・なんでもトラブルを起こさないためなのだとか。
祈りの場は階段になっています。
幾日か前に上流で大雨が降ったとかで、祈りの場も閉鎖されるかどうかの瀬戸際だったようです。
大雨のせいか水は茶色に濁り、激しく流れています。
沐浴する人たちをカメラに納めます。
絵葉書やガイドブックに載っている沐浴する人の姿は、あれは特別の日のことに違いないと思いました。
小舟に乗り、暗くなるのを待ちます。アルミのお皿にマリーゴールドの花の中心にロウソクがたたった灯篭を早々と流します。
その灯篭を売るのは小学生くらいの子どもたちです。
暗くなる頃には、周りの船も満杯になりました。
同行者の一人が、「ここに来ると人生観が変わるって言うわね」と言います。たしかに・・・・私も聞きました。
けど・・・・変わる程の人生観を持っているかと我が身に問います。
6時から1時間ちょっと7人の僧侶によるお経が始まりました。お経というより、テンポのいい歌のように思えます。
文字を読めない人のために、歌で伝えたからでしょうか。
水量が多いため僧侶は高い建物の中で。線香とロウソクと提灯を使い・・・・・まるでイベントのようだ・・・・と思いました。
船の横を灯篭が流れていきます。
お経というか歌を聞きながら、やっぱり考えてしまいます。人生観というより死生観でしょうか。
遠藤周作の「赤い河」が頭の中をよぎります。
帰路、物乞いが何十人も並んでいるのを見てしまいました。
そして私たちは物売りと物乞いの中を、ひたすら速足のガイドの背に遅れないように歩きます。
よそ見をしている時間はいっさいありません。歩きながらシャツターだけ押します。
このベナレスの街は私の気持ちを沈ませました。
ホテルのレストランで夕食。その間に2度停電です、実を言えばホテルに入って全部で5回の停電でした。すぐに自家発電に切り替わりますが、この国の電力事情はよくありません。
2011年の日本の震災を見て、原子力発電はやめたのだとか。今は火力発電が多いのだそうです。
これからは太陽光発電に力を入れていきたいといいますが・・・・場所は限りなくありそうですが、夜間が問題ですね。
翌朝ガンジス川の朝の沐浴の見学に行きます。
朝早くに沐浴するのだそうです。
朝日が昇りはじめます。地上近くの空気の汚れのおかげなのでしょうか、赤くて大きな太陽です。
真っ赤の太陽がガンジス河に映ります。その川面の輝きはすべて見る人にまっすぐ向かっています。
これが一番印象的でした。
祖母と孫息子でしょうか、2人並んで沐浴しています。
沐浴する人より見学者の方が圧倒的に多いのです。
階段で僧侶が儀式をしていました。
南インドから親の灰を流しに来た息子のためにです。インドはたくさんの言語があるのでしょう、僧侶のそばに通訳をする人がいました。
日本の国土の8.8倍の面積のインドです。生涯のうちに一度は来たいと思っている聖地です。
長くなりました。
依田 美恵子
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