2008.11.10のブログの転用です。
IТ産業は世界1とガイド氏も言いました。
その部分をかいまでも見たいと私は思っていたました。
長いバスの道中何か質問はありませんかと、私の横に席を移したガイド氏に、世界1のIT産業を見てみたいと言いました。
インドが発展していくには、雇用の拡大が必要なのでしょうね、と付け加えもしました。
しかし彼は、良いように見えるが、そこには農地を失った農民がいること語ったのでした。
森が無くなって、鳥もいなくなって、そう鷹も見なくなってしまったと、彼が悲しそうな目をしたのを見て、私は口をつぐみました。
貧富の差を見れば雇用の拡大しかないと単純に思っていた私には衝撃な言葉でした。
だが、ジャイプールからデリーに近づいたあたりで、私が見た物は工場地帯でした。
デリー市内は工場を作れないし、移転もしています。しばらく前の土地の買収で問題があったタタの自動車工場の話はきいたことがありました。
今は政府が土地を買い上げて工場団地をつくっているといいます。
デリーから2時間走った当たりの道の両側にズッーと続く杭を打たれた農地を見ていると、私の想像以上の規模でそれが進んでいると思われました。
ガイド氏が土地を手放した農民の行く末と食料問題に触れたことが、杞憂でないことが分かったのでした。
インドは若い人が圧倒的に多い国です。
25歳以下が50%だといいます、幼児が目立つのもそのせいでしょう。
世界の工場としての魅力は十分です。
デリーまで1時間位のところに来ると辺りには工場が次々現れ、高層のマンション群も出現しました。
ショッピングモールもあり、それまで見てきたインドの別の顔が現れてきました。
造成・工場の建築・マンションの建築・道路の拡張で大きな重機が目立ってきました。
トラックの列が続いていますが、それがデリーに入るとトラックが消えました。
時間制限をしているようですが、これらのトラックは、デリー周辺の資材の搬入のためなのでしよう。
道路は片側4車線、信号も少なくしているといいますが、急激な車の増加がインドルールとも言える運転をうみだしているのでしょう。
もっともキズを持つ車も多いし、故障の車も多い・・・・自分で修理している車を車窓から良く見かけました。
空港も新しい滑走路を作っていました。世界で2番目と言っていましたが、何が2番目なのでしょうか、記憶に残っていません。
今デリーは2010年にかつてイギリスの植民地であった地域の大会が開催されるのだそうで、それに向けて道路や地下鉄の工事が急ピッチで進められていました。
マンションブームが起きている。
農地がつぶれると・・・と言っていたガイド氏が、マンションを3つ持っていると聞きだしたのは同行者の一人でした。
その言葉と行動のミスマッチに???と思ったのでしたが、いよいよ観光を終えて4日目、カリヨン銀行さんの研修時、質問の中でマンションの話が出ました。
日本から2000年に赴任した時、200万円位だったものが今は10倍ですとのことに、ガイド氏の来年は倍になりますと語るのもうなづずけたのでした。
しかし上がった物が下がる経験をした私達には、バブルにも見えない訳ではありません。
一抹の不安を感じさせます。
今現実に起きているサブプライムローン問題もこの国だけを避けて通ることはありえません。
シン首相さえ「遅かれ早かれ」と談話していますもの。
最後の日昼食の席がガイド氏と一緒でした。
「マンションの値崩れがあるのでは」と水をむけたら、「かといってお金をどこへ向けたらいいのでしょう」と逆質問されてしまいました。
「えー」と思ったけれど、そう言われても、タンス預金という訳にはいかないお国の経済事情もあるでしょうから。
この国、実質経済成長率もここ暫くは9%、インフレ率は12%にも及びます。銀行の貸出金利の高さも半端ではないから、この国で事業をするということは、自己資本で無い限り10%は金利のために働かなければならないことだなと納得してしまいます。
それにしても、稼げる人は稼げる国なのだと、物乞いの多さにへきえきとしながらも感心したのでした。
物乞いは無視するが一番です、言葉を発するとしつこく付きまとい、お金を渡すとどっと寄って来ますと教えてもらいます。でも無視することは、見ることの裏返しですから、何でも見てやろうとする身にとってはこれもまた不自由なことなのです
レストランを出たところで、小学生も低学年位の子ににっこりと笑いかけられ、つられてにっこりした途端、でんぐりがえしが始まってしまいました。
それも一人ではありません。「あーしまった」と思ってももう遅いのです。チップを渡しましたが、同行者みんなも手を出されて・・・・。後で現地に詳しい人から「あれは危ないですよ」と忠告を受けたのでした。
たった1週間の滞在でしたが、物乞いの姿を数多く目にしました。
その姿に心が痛みます。
お誕生を過ぎたばかりと思われる幼子が、母親とそっくりの物乞いのしぐさを車窓越し見た時はさすがに身につまされました。
到着した日、一般的なカースト制度の説明を受けましたが、この制度は私達にはとうてい理解できないもののようです。
目の前に見える物とこの因果関係はわかりません。同行の誰もが、旅の間この制度については触れ得ませんでした。
観光シーズンを迎えると、物乞いの数が増えるといいます。
大使館に勤める女性は、この国に暮す人と思われてターゲットにはされないそうです。
路上生活者も多く、夕刻歩道で煮炊きしている姿をしばし目にします。
牛が悠然と歩く姿や、馬車にらくだに象そして猿にと目にする動物には事欠きません。
カラスに餌をくれているのを見て・・・・本当に不思議な国だ、それがまたこの国の魅力なのだろうと思いました。
依田 美恵子
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