事務所の入り口に1枚の板が立てかけられていました。
米松のピーラーで幅広柾で細かい目が通っています。幅は30センチです、う~んと私唸りました。
製材工場部門を閉鎖して10年経ちます。それまでは自社で製材していましたから、こんな板を見ることはめずらしくはありませんでした。
でも年々歳々というか、上等の木材という物の絶対量は少なくなってきていました。米松とはまさに輸入品です。
それと共に我が国の住宅から和室が消えていきましたから、卵が先かにわとりが先かという面もない訳ではありませんね。
神棚板も・・・・大変でした。
私にとって一番大変なお客様の柱に対するご要望は、目が詰んでいること、目が通っていること、節がないこと。それも定尺の3メートルと6メートルではなく、3.3メートルと6.3メートルという市場には出回らない希少な規格に対するものにです。
これに対応するために、建前が終わるまで神経が休まりませんでした。
木にこだわりを持っておられたので、建ててもらいたい方が行列を作っていた良き時代でしたから、私はそれを年に何回も繰り返してきました。
今柱を何にするかと口にされる方はほとんどおられません。
そういう意味から言うと、材木屋も楽になったといえるかもしれませんが、あの丁々発止の時代がなつかしくもあるのです。
柾目の板は倒すと、パチッと割れてしまうから、注意してねと言ったら、外ではなく事務所の中に持ち込まれました。
プレーナーも掛けられています。なんだか抱き付きたいような親愛の情がわきます。やっぱり私材木屋なんだわ。
何にに使われるのでしょうね。価格を聞いたら半値にも届きませんでした。
これって挽いたら偶然出てきてしまった上物みたいです。
いつまでも眺めていたい素敵な板でした。
依田美恵子 軽井沢・佐久で建てる外断熱・省エネ住宅 中島木材の家 <div align="center"> <strong> 【 中島木材のホームページは <a href="http://www.nakajima-sc.com/" target="_blank">こちら</a> 】 </strong> </div> <a href="//house.blogmura.com/chumonhouse_contractor/ranking.html?p_cid=00352122"><img
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