おとといのことです。スーツケースの荷物も再確認して用意万端の勢いでした。降リ続ける雪を眺めていると、床をスチーマーで掃除をする意欲もだんだん萎えてしまいました。
サラサラとした雪が絶え間なく降り続けています。父と夫はたびたび雪かきをしています。私は優雅に午後のひと時「北杜生」の「どくとるマンボウの途中下車」を読み始めました。
しばらくして、とんでもないことを思い出したのです。雪かきです、もちろん我が家のではありません。我が家では嫁に対して「箸より重いものを持たせません」から。
つい先日、わが友人のケアマネジャーのちゃこちゃんと会いました。彼女は居宅介護施設の社長さんです。その信頼される仕事ぶりに、私も数多くの知人や親戚をお願いしています。
人生長くなると、娘のように思ってくださる方が増えてきますが、私の元同僚もその「親」です。
元同僚は我が社のお客様でもあります。少なくとも月に1度は顔を出し、さりげなく状況をうかがっています。昭和の年と同じ・・・ですから今年は米寿。気丈でしっかりした奥様とここ2年ほどは持病も悪化せず、入院もせず暮らしていました。
暮れも押し迫った頃伺いましたら、奥様が疲れているように見えました。
ちゃ子ちゃんによれば年明け早々、奥様が腰痛で動けないと連絡があったという。入院となればご主人を施設にも入れなくてはいけないからと手配をしたが、とりあえず薬で痛みは止まっているが・・・・。
ご子息はかなり遠方にお住まい、さっそく駆けつけたら、そのご子息が帰ってこられていた。
ちゃこちゃんから奥様に「雪かき」と「朝早く起きての掃除」はやめてと、みーこちゃんからも言ってね、と念押しされていたのである。
言うは易しである・・・・その「雪かき」を思い出したのである。
ジャンパーに帽子に手袋を持ち出した私に、「おまえひとりでは」と「家のが終わったら」と助っ人をかってくれた夫に感謝感激。
そんな訳で、箸より重いものを持ったことのない嫁も、父と夫と共に我が家のこの日何度目かの雪かきを始めたのでした。たしかこの前私が雪かきしたのは10年も前かも。
元同僚の木戸ときたら、西に35m、東に15m。最低限デイサービスの車が入るように、もちろん短い方を選びました。
おや誰かが1回かいたみたいです。ご近所の方かしらと思いましたが、そのご近所自身がまだ雪かきをしていません。
庭先までたどり着いたら、音を聞きつけて顔を出されたのはご子息でした。
やっぱりお二人にしておけなかったんだあ、とあらためて納得です。
これから帰られるところでした。どんなにか気がかりなことでしょう。
いつしかこうして年を重ねていきます。どんな終末を迎えるか誰にも分かりません。
でも息子に迷惑をかけたくないと頑張るお二人にエールを送ります。
もう一人の娘として、私にも試練があたえられるかもしれません。
依田美恵子
軽井沢・佐久で建てる外断熱・省エネ住宅 中島木材の家