建築業界はクレーム産業と言われています。
現場での音や振動、仕上がりの色・形、そして傷・へこみ・・・
突っ込みどころは満載です。
先日も、新築の現場でクレームがあり、「現場責任者と話をしたいと言っているから早く来てくれ」と現場から連絡があり、急いで駆けつけました。
恐る恐る話を伺いに行ってみると、相手の方は現場の隣地の方でした。
内容はこうです。
その新築現場は路地の奥にあり、その路地の道沿いにお住まいの近隣の方は、なんとか車ですれ違える程度しかスペースがありません。
材料運搬で大型車が入るときなど、現場に停めている業者の車が道を塞いでしまうこともありました。
そういったことで、車の事で言われるかと思っていました。
が、内容は違いました。
その方は日中に仕事を終えて戻ってこられるので、現場作業中に戻られます。
そのとき、業者の車が道を塞いでいる事がしばしばあるのですが、車をどけてもらえるようにクラクションを鳴らすと、めんどくさそうに車を動かす者がいたということが何度かあったそうです。
気持ちも分かるのでこらえてはいたものの、それが何日か続き今回のことにつながってしまいました。
その方は私に、「家の工事はお互い様だから、できるだけ協力したいと思っている。車で道を塞いでしまうのもしょうがないこともある。すぐに動かしてくれれば問題のないことだから。ただ、動かすときに嫌そうな顔をされたり、すいませんの一言も言えないものはどうなんでしょうか。言ってくれる人ももちろんいる。自分だって迂回できるならしてあげたいが、ここしか通る事ができないのだから、お互い気持ちよくやっていけるようにお願いします」
と、このようなことを言われました。
もう、言われている事がごもっともすぎて恥ずかしかったです。「ありがとうございました」と言って頭を下げ現場に戻りました。
「クレーム」という言葉が悪い印象を作っていると私は感じました。
クレームを言って来る人=めんどうくさい人のように考えがちですが、今回の場合は、仕事以前に人としての振る舞いを指摘されたと思いました。
指摘してもらった事で、その内容について考え、そして気がつき、変われる事もあるでしょう。
自分の事しか考えられないと、仕事を中断させられたということで嫌な顔をしてしまいます。常に現場で余裕を持つ事と周りへの気配りを会社と業者全体で話し合いたいです。
そしてなにより私自身も余裕を持ち、現場でも業者に余裕を持たせられる段取りを常にしていきたいと思います。
私も含め、業者の対応はイコール会社全体の対応ということになってしまいます。
あらためて、仕事以前に人として振る舞いやあいさつ等コミュニケーションの大切さを感じた日でした。
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