【複数の人が作業できるキッチン】
コンロキャビネットを壁付け、シンクキャビネットをアイランド配置に。並列型キッチンは最短の移動で調理が可能。奥様はもちろん、料理人のご主人様も一緒に調理をされます。この配置なら2人で厨房に立っても広々と作業ができる。割烹屋さんだったご主人様も奥様も、慣れているガスコンロでの調理をご希望。アイランド型に設置したシンクキャビネットは奥行の広い天板で、半分はカウンターテーブルとして使います。右奥に見える組子格子のパネルはリビングからの目隠しなのですが、実はこれ、店舗に使っていた引戸なんです。思い入れのあるものをリノベ後のお住まいに生かせるのはとても嬉しいこと。ほかにお客様用にしていた靴箱、ケヤキ無垢の食器棚も使ってます。※今まではお店の厨房で自分たちのご飯も作り、その場で食事することも多かったM様ご夫妻。 2階にダイニングキッチンはあるけど、ほとんどをお店で済ませていた。親戚や近所のお友だちが遊びに来ても会話しながらお茶入れ・調理ができるように、リビング・ダイニング・キッチンを並べました。
【会話が弾むカウンター】
調理中でもこんなに近い!声を張り上げなくても、普通に会話できる。 忙しそうな様子がわかるから、お手伝いにも参加しやすい距離ですね。お友だちもダイニングテーブルに招いておもてなしする、リビングダイニング的な配置です。ただ空間が広いので、エアコンが大きいものになってしまいました。それでも空調の効率を上げるため、断熱材は追加して充填。
【欠点?もそれが利点に!】
ダイニングからそのままリビングへ。建物がビミョウに折れ曲がっていたことで、空間がつながっていながらも区分けられました。鉄骨の柱型(壁の四角い出っ張り)もエリアを自然に分けるのに一役かってます。テレビの背面壁に、アクセントでもあり空気清浄効果のあるエコカラットを貼りました。「柄物のクロスじゃなくて、やっぱりタイルにしてよかったわ」と奥様。照明器具はできるだけ埋込み型や薄型を選択し、凸凹をなくすことでスッキリと空間をつなげるようにしました。M様邸は商店街にあり、すぐ表側が歩道。けっこうな人通りがあるので、窓には目隠しもでき採風もできる特殊なロールスクリーンを取付け。店舗の玄関は来客用の玄関に、裏口は車庫へ直接出られる家族専用玄関に。私もたまに遊びに行くのですが、「自分はお客様か家族か?」と一瞬考えてから、裏玄関から入ります。
【長屋でも光や風はちゃんと届きます】
商店街の細長~い建物なので、インテリア高窓で光や風を中央部へ届ける工夫をしました。写真は奥様の寝室へ風と光を届ける高窓。向こう側がキッチンで、反対側には風通し用に縦スベリ窓を設けてあります。窓の外は車庫なので、外の風が通ります。建物の中央付近にトイレ・浴室などを配置し、細長い建物内での移動距離を最小限で済ませる工夫のプランニングをしました。また、寝室やLDKを建物の端へ寄せることで、光・風を採りやすくしました。
【システムバス】
冷たいタイルのお風呂から、断熱性が高く掃除のしやすいシステムバスへ。深い浴槽から洋風の浅く広い浴槽へ。出入りも楽だし、エコベンチ浴槽で足を延ばして半身浴も楽しめます。シャワーフックバーと兼用の手摺も安心ですね。浴室換気乾燥暖房機を設置し、冬には浴室内を温めてから入ります。ヒートショック防止。建物中央の浴室のため、窓がありません。乾燥機で湿気を飛ばせるからカビ防止にもなります。年末の大掃除も手間が激減。
【手洗い場は多いほうがいい】
奥様のご希望により、脱衣室とは別に洗面化粧室を設けました。洗濯機は脱衣室に置くのですが、洗面・手洗いで洗面台はふだんから何回も使うので、別に欲しいとのこと。階段下にスペースがとれたので、物入れ・パントリーにしようと計画していたスペースを洗面室に。ベッセルタイプの洗面ボウルを設置し、天井が低いほうは物置スペースとしました。照明は奥様お気に入りの手持ちのレトロ調の器具です。写真右には可動棚を2段。そこに乗っている収納ボックスは、奥様手づくりの小物入れ。大柄のクロスの切れ端を紙ボックスに貼って作ったそうです。「クロスをちょうだい」と言われたときは「ブックカバーでもつくるのかな?」と思っていましたが、完成した時に見せられて驚きました。上手に作りましたよね。