酷暑だった夏が終った途端に急激に涼しい日が多くなりましたね。
このような気温の変化は私たち人間と同じ様に愛犬の体調にも大きく影響する場合があります。
今回は「秋口から起こりやすい体調のトラブル」について調べてみましたのでご紹介いたします。
【皮膚に関するトラブル】
夏の高湿度から秋の乾燥期に移行すると、空気の乾燥が急激に進むため、犬の皮膚にトラブルが起こりやすくなります。
⦿ノミ、ダニの寄生による皮膚炎⦿
犬の皮膚にノミやダニが寄生すると皮膚炎を発症する場合があります。1年を通して7月~10月に罹患率が上昇すると
いわれていて、ノミやダニは人にも寄生するので注意が必要です。
お散歩の後はノミ取りコームでブラッシングしたり、シーズン中はノミ、ダニ予防薬の滴下などで予防し、また寝床の
敷物やベッドにダニや雑菌が繁殖しないよう清潔に保つことも重要。
⦿アレルギーによる皮膚トラブル⦿
1年の中で夏から秋に移行する時期に、アレルギーを持つ犬の血中抗体価が上昇することが証明されています。
代表的なアレルゲンはヒダニやコナダニです。これらは室内のハウスダスト、布製品や布団などに繁殖するダニで、
皮膚の赤み、激しいかゆみ、更に進むと化膿を引き起こします。こまめなお掃除と除菌で予防できます。
【呼吸器や循環器に関するトラブル】
夏の高温から秋の気温低下が進むと、冷たい空気が粘膜を乾燥させるため、呼吸器にトラブルが起こることがあります。
また、気温が低下すると、血圧上昇と心拍数増加に伴って循環器にトラブルが起こる確率が高くなります。
⦿鼻炎⦿
冷たい空気によって犬の鼻の粘膜が乾燥するとウィルスや細菌に感染しやすくなり、鼻水、くしゃみ、
鼻の皮膚のひび割れなどの症状を引き起こします。
室内の湿度を50%くらいに保ち、鼻が乾いていたら(寝ている時以外)ワセリンを少量塗るなどで予防しましょう。
⦿うっ血性心不全⦿
1年のうち9月から11月の発症率が高い病気で、気温が低下することで血圧が上昇し、心拍数が増加することで
発症しやすくなるといわれています。ただし、うっ血性心不全は心臓病の末期症状であり、フィラリア感染症、心筋症、
僧帽弁閉鎖不全症などの心臓病が悪化して心臓に血液が溜まり、処理しきれない血液や水分が肺に溜まって肺水腫を引き起こす
症状を指します。
主な症状は水の多飲、嘔吐に似たような重い咳、呼吸困難、舌が紫色になる(チアノーゼ)、立ったまま動かず呼吸が
苦しそう(心不全発作)などです。発作を繰り返すうちに急性腎不全や多臓器不全などで命を落とすこともあります。
心臓病は予防が難しく、日頃から動物病院で定期的な検診を受けることをおすすめします。
【感染症】
秋に気温が下がり始めて空気が乾燥してくると、犬の気管支や鼻の粘膜も乾燥が進み、夏バテなどで体力と抵抗力の
低下も伴ってウィルスや細菌に感染しやすくなります。
⦿レプトスピラ症⦿
8月~11月に感染率が高くなる病気で、レプトスピラ属の病原性を持つ細菌に感染すると発症し、主な症状は3つに分類されています。
1.不顕性型...感染しても明らかな症状が出ないまま自然治癒します。
2.出血型...食欲不振、目の充血、嘔吐、吐血、鼻血、血尿、血便、高熱、口腔内や白目、腹部の黄疸などがみられます。
3.黄疸型...高熱、絶食、震え、歯茎の出血、嘔吐、口腔内や白目、腹部の黄疸などがみられます。
出血型と黄疸型は深刻な症状で、シニア犬と子犬は重症化することも少なくありません。
また、レプトスピラ症は人獣共通感染症のひとつで人にも移る病気なので、愛犬の罹患で看病をする時は必ずマスクと
手袋を着用し、看病時に接触した衣服は必ず着替えるよう徹底する必要があります。実質的な予防策は毎年のワクチン接種です。
季節の変わり目、特にこの時期は暑さから寒さへの体内変換期、人も体調を崩しやすい要注意シーズンですね。
子犬は身体機能の未熟さ、シニア犬は身体機能の衰えにより、体調を維持するためには愛犬家さんの助けが必要です。
念入りにケアしていてもどうしても避けられずに病気を発症してしまうこともあると思いますが、知識を持つことで
対抗策やケア法を生み出すキーワードになることがあります。
これから寒い冬に向かいますが、体調管理に気を付けてお過ごしください。
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