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二世帯住宅リフォームによる相続対策

近年、終活がブームになったりと、相続対策への関心が高くなっています。
今回は二世帯住宅リフォームによる相続対策についてお話しします。

(この記事を読むのに必要な時間は2分)

二世帯住宅リフォームが相続対策になる

二世帯住宅リフォームが相続対策になるのか、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は逆にこのことを知っているか知らないかで、相続税に大きな差が出る場合があるのです。
まず、親の家を二世帯住宅にリフォームし、親と子どもが一つ屋根の下に暮らしていれば、相続発生時に、「小規模宅地等の評価減」という特例における「同居親族」という要件を満たし、自宅の土地について330㎡までは相続時の評価額を80%も減額できます。その結果、相続税が大幅に減額されます。と、これだけであれば至極簡単な話なのですが、ここで気を付けたいのが「同居」の定義なのです。
税制改正前における同居の定義は、建物内部で互いに行き来ができるかどうか、だけでした。完全に仕切った構造にしていた場合は別居として扱われてしまうため、あわててリフォームして、壁をなくしたり、建物内に階段を作ったりした方がたくさんいたんだそうです。
しかし、平成26年の税制改正により、内部が完全に仕切られていたとしても、特例が使えるようになりました。「これで壁に穴を開けなくてよくなった」「嫁姑問題もこれで解決!」と思っていたら、このあとに大きな落とし穴があったのです。

単に「内部が完全に仕切られていたとしてもOK」としてしまうと、分譲マンションのそれぞれ違う部屋に居住していた場合であっても一つ屋根の下に暮らしているため「同居」となってしまい、特例を受けることが出来てしまいます。そこで「区分所有登記がされている建物を除く」という条件が加わり、同じ分譲マンションの別々の部屋に住んでいる場合は同居とは認めない、とされました。
いやいや、この話は二世帯住宅なんだから、区分所有登記なんて関係ないでしょ?と思われるかもしれませんが、ここが落とし穴です。
実は、二世帯住宅であっても分譲マンションのように区分登記されている場合が多いらしいのです。建築時・リフォーム時、何の気なしに一階部分は親の所有物、二階部分は子どもの所有物、というような登記をしてしまった場合、小規模宅地等の特例の要件でいう「同居」には該当しなくなります。その場合には莫大な相続税が…。
このように莫大な相続税を課税されるリスクを回避するには、「小規模宅地等の評価減の特例」要件を満たすようにすることが重要です。今、二世帯住宅のリフォームを考えられている方は、しっかりと「同居」しておくことが重要ですね。

Profile
エフピーマトリックス株式会社
代表取締役 吉田 隆
日本FP協会会員 CFP。明治大学法学部法律学科卒業。株式会社エフアンドエムにて総務人事コンサルタントに従事。平成13年に独立し、現在はファイナンシャルプランナーとして、相続事業承継対策、住宅ローン相談、個人ライフプランニング相談等に従事。