リフォームの基礎知識と費用の相場
中古マンションのリフォーム費用の相場
購入した中古マンションは、リフォームによって部屋の内装や設備を改善することで、より快適に暮らしやすくなります。特に、築年数を重ねた住まいの場合は、全体的なリフォームが必要となるケースもあるでしょう。優先順位と予算に応じて、リフォームをご検討ください。
この記事では、中古マンションのリフォーム費用の相場を解説します。
中古マンションのリフォーム費用の相場
初めに、中古マンションのリフォーム費用の相場をご紹介します。中古マンションのリフォーム費用は、住まいの築年数のほか、前住民による使用状況・部屋の広さ・資材のグレードなどの条件によって差が出ます。そのため、まずは築年数を参考に自分のケースでどれくらいの価格帯になるのか確認してみましょう。
築年数 | 中古マンションのリフォーム費用の相場 |
10年未満 | 7万〜10万円 |
10〜15年 | 10万〜265万円 |
15〜20年 | 57万〜375万円 |
20〜30年 | 225万〜645万円 |
40年以上 | 670万〜1240万円 |
築10年未満の中古マンションリフォーム
築10年未満の中古マンションでは、主に部屋のクリーニングや畳の表替えなどの気軽なメンテナンスを行います。畳の表替えとは、畳表を裏返してきれいな面にすることです。こうしたお手入れによって和室の畳を長く使い続けられます。このほかにも、内装の状態によっては壁紙を張り替えることがあります。
築10〜15年の中古マンションリフォーム
築10〜15年の中古マンションでは、主に以下のリフォームを行います。
【築10〜15年のリフォームの主な内容】
壁紙の張り替え 便器の交換 畳表の交換 給湯器の交換 洗面台の交換
一般的に、壁紙は経年による変色や汚れが発生するため、10年程度が張り替えの目安とされています。また、給湯器や洗面台といった設備の耐用年数は10~15年程度とされているため、このタイミングで設備の交換を実施すると良いでしょう。
築15〜20年の中古マンションリフォーム
築15〜20年の中古マンションでは、主に以下のリフォームを行います。
【築15〜20年のリフォームの主な内容】
壁紙の張り替え 便器の交換 畳表の交換 給湯器の交換 洗面台の交換 ユニットバスの交換キッチンの交換 フローリングの交換
築15〜20年になると、多くの設備のダメージが目立ち始めます。故障などのトラブルを避けるためにも、リフォームによって設備交換を検討するようおすすめします。目安として新築から15~20年が経過すると、新たな機能を搭載した設備が販売されるため、利便性がさらに高まるでしょう。
築20〜30年のリフォーム
築20〜30年の中古マンションでは、主に以下のリフォームを行います。
【築20〜30年のリフォームの主な内容】
壁紙の張り替え 便器の交換 畳表の交換 給湯器の交換 洗面台の交換 ユニットバスの交換キッチンの交換 フローリングの交換 間取りの変更 配管の交換 断熱性を上げる施工
築20年以上になると、住まいの見えない箇所が傷んできて、しだいにトラブルが起こり始めます。水道管や排水管の経年劣化により、水漏れや配管の詰まりが発生するおそれがあるため、キッチン・お風呂・洗面室などでは注意が必要です。また、リフォームをすると時代のトレンドを反映した間取りや内装に変更できるため、家族が過ごすリビングをおしゃれな空間に仕上げられるのも魅力です。
築40年以上のリフォーム
築40年以上の中古マンションでは、主に以下のリフォームを行います。
【築40年以上のフォームの主な内容】
壁紙の張り替え 天井のクロスの張り替え 便器の交換 畳表の交換 給湯器の交換 洗面台の交換 ユニットバスの交換 キッチンの交換 フローリングの交換 間取りの変更 配管の交換 断熱性を上げる施工
築40年以上になると、内装を全て解体して新たに作り直すような、大規模なリフォームを行うケースがあります。施工業者に相談してリフォームの計画を立てる際は、現状の内装や設備に故障や破損している箇所がないか事前に確認して、着実に改善を実現しましょう。
【工事内容別】中古マンションのリフォーム費用の相場
続いて、中古マンションのリフォームにかかる費用を、具体的な工事内容別にご紹介します。工事を希望する箇所ごとにどれくらいの金額が必要になるのか、ぜひチェックしてみてください。予算内に収まるように工事の計画を立てましょう。
施工場所 | 中古マンションのリフォーム費用の相場 |
キッチン | 70万〜200万円 |
浴室 | 70万〜150万円 |
トイレ | 15万〜50万円 |
洗面所 | 15万〜40万円 |
クロス(壁・天井) | 40万〜50万円 |
床 | 70万〜90万 |
キッチンのリフォーム
キッチンリフォームでは、キッチン本体の交換・レンジフードの交換・レイアウトの変更などを行います。費用面に特に大きく関わるのは、レイアウト変更の有無です。例えば、壁付けキッチンから対面式キッチンに変更するケースや、I型キッチンをL型キッチンに変更するケースでは、工事の規模が大きくなります。一般的にリフォーム費用が高額になることに留意しましょう。
浴室のリフォーム
浴室リフォームでは、浴槽の交換・内装の変更・給湯器の交換などを行います。一般的にユニットバス全体のリフォームでは部分的な設備の交換よりも費用を抑えやすくなります。ユニットバスとは、浴室の壁・床・天井・浴槽といったパーツがセットになった規格品です。在来工法の浴室をユニットバスにリフォームすることもできます。なお、給湯器を交換する場合は、別途15万~20万円ほど費用がかかります。
トイレのリフォーム
トイレリフォームでは、便器の交換・床材や壁紙の張り替え・手洗い場の設置などを行います。その際は、便器のタンクの有無によって費用が大きく変わることを押さえておきましょう。タンクが無いタイプのタンクレストイレは、タンク付きトイレよりも設備の価格が高くなります。また、タンクレストイレには手洗いが付いていないため、別途手洗い場の設置が必要になる点も考慮しなければなりません。
洗面所のリフォーム
洗面所リフォームでは、洗面台の交換のほか、床材や壁紙の張り替えなどを行います。リフォーム費用に差が出る可能性があるのは、洗面台のグレードです。デザインが優れたものや機能性が高いものほど、設備の価格が高くなります。洗面台の選び方次第で収納力がアップしたり、日常生活での利便性が高まったりするため、慎重に選ぶと良いでしょう。
クロスのリフォーム
マンション全体の壁紙や天井クロスの張り替えを行います。費用は壁紙・クロスのグレードや部屋の広さによって異なるため、専有面積から概算してみましょう。壁紙やクロスを張り替える内装リフォームには、空間に清潔感をもたらしたり、部屋の雰囲気を変えたりできるメリットがあります。こだわりのおしゃれなクロスを見つけて、リフォームで住まいのテイストを心機一転してはいかがでしょうか。
床のリフォーム
床リフォームでは、フローリングの張り替えや畳のメンテナンスなどを行います。フローリングは代表的な床材の一つで、リフォームの工法には「張り替え工法」や「重ね張り工法」などの種類があります。張り替え工法では、古い床材を撤去してから新しい床材を張るのが特徴です。それに対して、重ね張り工法では古い床材の上から新しい床材を張るので、費用を抑えやすくなります。
中古マンションのリフォーム費用を安く抑えるコツ
中古マンションのリフォーム費用をできるだけ抑えるには、以下のポイントを押さえて工事を計画することが大切です。お住まいの自治体によっては、補助金・助成金などの制度を利用できる可能性があるため、余裕をもって情報をチェックしておきましょう。
優先度の高い施工内容に絞る
予算の範囲内でリフォームを仕上げるためには、優先順位の高い施工内容に絞って工事すると良いでしょう。どうしても譲れない工事内容を見極めることで、費用を抑えるべき点と投資すべき点を明確に判断しやすくなります。まずはリフォーム予算の上限を設定した上で、工事を削れる箇所がないか、リフォーム業者の見積もりを踏まえてコストを見直すことが重要です。
資材の費用を抑える
リフォーム費用は施工に使う素材や設備の選択肢によって金額に大きな差が出ます。そのため、リーズナブルな素材を採用したり、設備のグレードを下げたりしてコストダウンを図るのも有効です。例えば設備の場合、あえて型落ちの製品を選ぶことで、機能や性能が最新ではない分、価格を抑えられる可能性があります。素材や設備の選び方も意識してみましょう。
補助金や助成金、減税制度を利用する
中古マンションのリフォームに利用できる主な税制特例
中古マンションをリフォームする際、減税の対象に該当すると、支払う税金の一部が減免されます。負担が軽減されることで、結果として費用面のメリットが得られるため、ぜひ利用できる減税制度を確認しておきましょう。具体的には、以下の制度が挙げられます。
【減税制度の例】
・住宅ローン減税
・住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置
・省エネ改修に関する特例措置
・バリアフリー改修に関する特例措置
・長期優良住宅化リフォームに関する特例措置
・同居対応改修に関する特例措置
中古マンションのリフォームに使える主な補助金
省エネや介護などの目的で中古マンションをリフォームする場合は、国の補助金制度を利用できる可能性があります。特定の条件を満たすケースではリフォーム費用が軽減されるため、ぜひチェックしておきましょう。なお、補助金制度は状況に応じて終了することがあるため、最新情報をご確認ください。
【国の補助金制度の例】
・住宅エコリフォーム推進事業
・長期優良住宅化リフォーム推進事業
・先進的窓リノベ事業
・給湯省エネ事業
・既存住宅における断熱リフォーム支援事業
・次世代省エネ建材の実証支援事業
地方公共団体の補助制度
リフォームで使える補助金制度の中には、国のほかに地方公共団体が独自に展開しているものも存在します。自治体によって制度の内容が異なるため、ぜひお住まいの自治体の情報を調べてみてください。地方公共団体の補助金制度は、一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の運営する「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト(令和5年度版)」で検索できます。
中古マンションのリフォームでよくある質問
最後に、中古マンションのリフォームに関するよくある質問と、その回答をご紹介します。マンションリフォームを検討されている方は、疑問や不安の解消にお役立てください。
中古マンションの住宅ローンが残っていても、リフォームローンは利用できる?
基本的には、住宅ローンが残っている場合でもリフォームローンを借りることは可能です。その際は、住宅ローンとリフォームローンを一本化する方法があります。手続きの流れは、まず住宅ローンを借り換えてから、リフォーム費用を含めて新たにローンを組み直し、借り入れを行うのが一般的です。利用可否や詳しいサービス内容は各金融機関でご確認ください。
中古マンションはリフォームせずに住める?
中古物件であっても、築年数が浅く状態の良いマンションであれば、リフォームなしでそのまま住める可能性があります。一方、築年数が経過して設備機器の老朽化が進んでいる場合は、水回り配管の水漏れなどのトラブルが懸念されるため、入居前にリフォームするのが望ましいでしょう。内装リフォームだけでなく、必要に応じて水回り設備も含めた全面リフォームをご検討ください。
中古マンションのリフォームで最低限やるべき箇所はどこ?
中古マンションの工事では、現時点で破損や故障が見られる箇所、劣化している箇所などは最低限リフォームしたほうが安心です。具体的には、「建て付け不良でドアが開きにくい」「換気扇が動かない」といった箇所があれば工事を検討すると良いでしょう。こうした優先順位が高い箇所をチェックして、予算とリフォーム会社の見積もりを照らし合わせて判断するようおすすめします。
築20年のマンションのリフォームの費用はどのくらい?
築20年のマンションをリフォームする費用相場は57万~375万円程度が目安です。リフォーム費用は部屋の広さや使う資材のグレード、リフォームする範囲などによって変動します。一般的に、マンションは築年数に応じてリフォームにかかる金額が高くなる傾向にあります。築20年以上ではフルリノベーションのように施工箇所が広範囲にわたるケースが多いため、施工費用が高額になる可能性を考慮しておきましょう。
中古マンションのリフォームでよくある失敗は?
中古マンションのリフォームでの注意点は、事前に物件の管理規約と工事内容を十分に確認しておくことです。マンションでリフォーム可能なのは専有部分のみで、基本的に玄関ドアや窓などの共有部分はリフォームが不可となります。また、マンションの構造にも注意が必要です。例えば壁式構造のマンションの場合、間取りを変更できません。管理規約や構造の把握不足による失敗にご注意ください。